好きになった経緯とか
フィギュアスケートは昔から見ていた方だと思う。
別に特別な理由はない。
日本でウィンタースポーツの中ではフィギュアスケートが一番有名で、人気だったからだ。
バンクーバー五輪で真央ちゃんの悔し涙にテレビの前で一緒に涙したことも覚えてるし、”世界一のステップ”と言われる大ちゃんのステップに魅了されたことも覚えてる。
国内の女子スケーターはそれこそ浅田真央とか安藤美姫、鈴木明子、荒川静香、村主章枝、中野友加里など結構知っていたが、私が男子スケーターで知っていたのは高橋大輔、織田信成、小塚崇彦の三人だけだった。すなわちバンクーバー五輪に行った三人。
この三人でこれまでずっと全日本の表彰台争いをしていたはず。つまり、表彰台にこの三人が乗るのは何年か前から当たり前だった。後は誰が表彰台の真ん中に立つかの争い。
SP一位は小塚くんだったんだっけな?
結弦は、織田くんも大ちゃんも抑えて二位。
今まで名前も知らなかった人が急に勢いよく崩されるはずないバンクーバー三人組に割って入ってきた。年齢を聞くとまだシニア一年目の16歳だと言う。 フィギュアスケートは、ノービス(〜12歳)、ジュニア(13歳〜18歳)、シニア(16歳〜)と分けられていて確かにシニアには16歳になると上がることが出来るけど、それはかなり実力のあるものだけで殆どは16歳からシニアに上がってくる選手はいない。だから16歳でシニアに上がってきた結弦は幼き頃から確かに実力があった選手なのだ(ファンになってから分かったけど、ゆづは15歳の時、JGPシリーズ、JGPF、全日本ジュニア、世界ジュニアとジュニアのありとあらゆる大会のタイトルを総ナメにした男だった)
でも、勿論その当時の私は羽生結弦がどれほど実力があったかなんて全く知らない。知るわけない。その当時の私は、フィギュアをルールもろくに知らずただ見て楽しんでるだけのお茶の間ファンだったのだから。
そして、次の日のFSでゆづは四位に沈んだ。結局表彰台はバンクーバー三人組で、ゆづは表彰台に乗れず。解説者にはFSで点数が伸びなかったのは「体力不足」だとか言われてて。なーんだ、若いから勢いよく出てきただけか。FSは体力不足でバテバテじゃん。とか、私は、ゆづのこと、鼻で笑ってた。最悪な話だけど。
それからフィギュアをテレビでやっててもあまり見なくなった。いや、見てたのかもしれないけど記憶に全くない。
次に強烈に覚えてるのは、2012年の全日本選手権。あの時からちょうど二年後の全日本。何気無く観ながら「相変わらず男子では大ちゃんが強いんだなあ〜」とか思ってて、大ちゃんがSP一位のまま残るは最終滑走の羽生結弦だけになった。
二年ぶりの結弦を見た時、まずあの当時とのオーラの違いに驚いたのもあったし、何より演技が衝撃的だった。その時のプログラムがあの「パリの散歩道」
四回転ジャンプにはとても見えない余裕すぎる四回転。めちゃくちゃかっこいい入り方(その時はカウンターとか知らない)のトリプルアクセル。当たり前のように決めた三回転のコンビネーション。終始余裕そうに挑発気味に微笑んでいて、スピンも軸ぶれせず綺麗で、ステップもキレキレ。何もかもが完璧で、完璧すぎるほど完璧で。圧倒的なオーラがあって、人ってたった二年でこんなに変わるんだ、こんなにうまくなるんだって本当に感動した。
点数は当たり前のように一位で、なんと二位の大ちゃんに八点も差をつけていた。結局、FSもミスは少しあったものの一位でゆづは当時18歳の若さで全日本王者に輝いた。なんていうかSPのパリ散の衝撃度がほんとに半端なくて、あの当時からの圧倒的な強さを今のゆづを見ても思い出せて、この2012年全日本選手権はほんとよく覚えてる。それでもここでゆづのこと本格的に応援しよう!ファンと言われる部類に入ろう!とは全然思わなかったんだけど(笑)
でもそんな強烈に覚えてる2012年の全日本選手権。SPは今でもよく見るけど、FSの日は今だに見ることが出来ない。ゆづが初めて全日本王者に輝いた年の大会なのに。ゆづファンの大半の人にとってある意味トラウマな大会で、2012年の全日本と聞くだけで苦しい思いになる。めちゃくちゃ悲しい。本当に本当に悲しい。自分の好きな選手が負けたからって一位の人を受け入れない会場、観客がいるなんて本当に許し難い事だと思う。私は今でも思う。初めての全日本王者になり、表彰台の一番上で無理やり作った笑顔じゃなくて心からの笑顔のゆづが、見たかった。
そして時はまた少しだけ過ぎて、2013年のGPF。ゆづは2シーズン続けて同じSP「パリの散歩道」で世界最高点を獲得した。前シーズンのパリ散より更にパワーアップしてるパリ散を見た、っていうか魅せられた。この試合でゆづはSP、FSと共に一位でGPF初優勝を果たした。GPF優勝よりもっと凄い!と感動したのは、あのパトリック・チャンを破っての優勝だったということ。
いくらフィギュアお茶の間ファンだった私でもパトリックチャンの圧倒的な強さは知っていた。日本男子では大ちゃんが一番強かった時だって、大ちゃんが中々チャンに勝てなかったのを覚えてるし、チャンはどの試合でも殆どミスをしない強すぎる王者だった。そんなチャンにゆづが勝った。大ちゃんにゆづが勝った時も中々驚いたけど、その僅か一年後に世界チャンピオンのチャンに勝ったときのあの興奮と感動を忘れていない。
この時、何が一番ゆづに心を揺さぶられたって、ゆづはFSの演技で冒頭の4Sを転倒した。しかしその後は何もかも完璧だったのだ。前日のSPも完璧だった。たった一つのミスだけ。だからそこにいた観客はみんな演技後、スタオベして盛大にゆづを讃えた。なのに、当の本人は終わった後もキスクラでも優勝が決まった後でさえもずっと悔しそうな顔を隠さないのだ。一つミスしてしまったのがとにかく悔しい、優勝したって、あのパトリックチャンを倒したって完璧な演技が出来なかったことが悔しい。そういう事なんだ。そんな自分にはとことん厳しく、常に完璧を求めてるゆづの性格と根性に感服した。演技してるゆづにも魅せられたけど、顔に似合わずどこまでも貪欲な性格に好きだ!この人が好き!って思った。私は努力を惜しまない人が好き。努力することを当たり前だと思ってる人が好き。そして何より、常にどんな時だって前を向いてる人が好き。
嵐だけ、櫻井翔だけを応援しなくてもいいじゃないか。櫻井翔と羽生結弦を応援してもいいじゃないか。追う背中を二つに広げてもいいじゃないか。だって、私は翔くんと同じぐらいに、この羽生結弦という人物の未来を一緒に見たいと、そう思ったんだもの。
2013年GPFで、この場合やっと、と言うべきなのか。私は羽生結弦を本格的に応援していく事を決めた。
そんなGPFの約二週間後の2013年全日本選手権、兼ソチ五輪選考会。結果はつい一年前大ちゃんといい勝負を繰り広げたとは思えないぐらい圧倒的な強さでゆづの勝利だった。全日本王者は必然的にソチ五輪の切符の三枚のうち一枚を手に入れることが出来ることが決まってるので、圧倒的な強さで楽勝優勝を果たした結弦は「これ、皆さんよりお先に貰いますね」と言わんばかりに余裕たっぷりにソチ五輪出場資格を手に入れた。まるで全日本にはもう俺の敵はいない。俺の敵はパトリックチャンだけだ。と、言ってるような圧倒的な強さだった。世界最強と言われてるのが日本男子フィギュアで、誰がソチ五輪の出場権を掴むんだと世界でも注目されてるぐらい強い選手が沢山いるのに。そんな殺伐とした激烈な戦いの中でも羽生結弦一人だけ抜きん出てた。
そしてこの大会で私は疑問に思ったことがあった。13年全日本の最終結果は、一位羽生結弦、二位町田樹、三位小塚崇彦だった。この一位のゆづと二位のまっちーはSPとFS共にほぼノーミスで完璧な演技を披露した。なのにそんな一位と二位の点差は20点以上もあったのだ。見てるだけだと二人はほぼ完璧なのに、この20点の差は何なんだろう?って疑問に思った。ゆづの演技は他の選手よりも明らかに違うことはわかる。ゆづがめちゃくちゃ強いのは見てるだけでもよくわかる。でも、具体的にどこがどう凄いのかがわからない。好きな選手なのにゆづの高得点の具体的な理由を述べることが出来ない。この疑問を持った時、初めてフィギュアを本格的に勉強しようと思った。ジャンプの見分けは、アクセルだけかろうじてわかるぐらい。どのジャンプが点数高いかなんか全く知らない。ジャンプをいくつ入れていいのかルールもろくに知らない。だから、応援していくにあたって勉強しようとこの時初めて思った。
それから時間を見つけては、まずはジャンプの名前と点数の高さを覚え、次にフィギュアそのもののルールを学び、そしてそれぞれのジャンプの見分け方を覚え始めた。ソチまでにジャンプの見分け方分かればいいなあとか思ってたけど、結局それは間に合わなかった(笑)
だからソチ五輪は全ての選手の演技を見せてくれたから、第一グループの第一滑走の選手から見て、名前も知らない選手だから勿論どんなジャンプ構成なのかも知らないしこれは好都合だと思って、一人一人の選手を見ながら跳んだジャンプを解説者と一緒に「トリプルフリップ!」「トリプルルッツ!」とか言って勉強してたなあ(笑)
ソチ五輪の団体戦であの会場の凄まじいロシアコールの中、最終滑走で堂々の演技をして皇帝プルシェンコもパトリックも抑えて一位に立ったゆづを見て本当に誇らしかったし、なんと言ったって個人戦のSPのパリ散で100点を超えたときのあの興奮なんて一生忘れられない。2012年の全日本だって2013年のGPFだって全日本だって確かにノーミスで完成度高かったけど、そんな二年間暖めてどんどんどんどん自分のものにしていったSPパリの散歩道がソチ五輪で一番いい演技が出来た!三つのジャンプ、スピン、ステップの全てが非の打ち所がないパーフェクトな演技が出来た!っていうこの人の勝負強さにただただ感服するしかなかった。FS当日、もう朝からめちゃくちゃ緊張してて心臓痛かったことも覚えてるし、金メダルが獲得したとき深夜の三時、四時過ぎなのに飛び跳ねて喜んだことも、次の日のメダルセレモニーで金メダルを貰って嬉しそうな、本当にただただ嬉しそうな顔してるゆづ見て涙が出たことだって一生忘れない。
ソチ後にお母さんの仕事仲間で昔からのフィギュアファンの人に昔からのゆづが出てる大会やドキュメンタリーを全てダビングしてもらって、それを見て私がどんどん沼にハマっていったのは言うまでもない…(笑)そしてその時初めてニースのロミジュリを見て、なんでこんな素晴らしいものを当時の私は見なかったんだ!馬鹿野郎!!って死ぬほど後悔したし、他にもゆづだけじゃなくて他の選手の演技やゆづが出てない大会も見ることでフィギュアそのものの魅力も感じて、ゆづ以外にも好きな選手が沢山出来て。ソチ終わったあたりからジャンプの見分けが完璧につくようになって、そのノルマを達成したから次はスピンの種類やレベルの取り方を学んで、ジャンプの見分けがつくようになったことで必然的にジャンプの回転不足なども自分の目で見てわかるようになった。
今もまだフィギュアスケートの全てがわかったわけじゃない。まだまだ分からないことだらけで奥が深いスポーツだなと思うし、だからこそ楽しいんだと思う。ちなみに今はフリップとルッツのインエッジとアウトエッジを自分の目で見てもわかるようになることと動作の一つ一つの名前を出来るだけ覚えることが目標!←
フィギュアは動作一つ一つ全てに名前があって、カウンターやロッカー、イーグル、ウォーレイ、シャッセ、スリーターンなどある程度よく名前が出る動作の名前は分かるが、まだまだ知らない動作の名前が沢山ある。それを知ることでどの選手にどれだけ技の繋ぎが多いか、またこれらの技をしてからジャンプに入ってるかがわかって、どの選手のジャンプが難しい入りで加点が沢山つくか今以上にもっとわかってくるかなあって。
これらのことを勉強してわかったことだけど、羽生結弦の真の強さはきっとルールをしっかり学ばないと分からない。絶対分からない。彼がどれだけ戦略的に今のルールに有利な構成にしているか、どれだけ技の繋ぎが多いか、それがルールを知ることで自ずとわかってくる。そしてゆづが今演じているSPもFSも、確かに彼にしか出来ないことなのだ。他の選手に羽生結弦の真似をしてみろと言われても絶対に出来ない難しいプログラム。ゆづのジャンプもステップも難しいようにはとても思えないと言う人がいると思う。でも、その難しいことを簡単に見せてるのが彼の一番凄い所なのだ。後は、彼の日々の進歩。つい二年前の彼の演技を見てほしい。プログラムの内容の豊富さもスケーティングもスピードも何もかもが一目で見てすぐにわかるほどに明らかに違うから。2011-12年シーズンの伝説のFSロミオとジュリエット、そのプログラムをゆづは2014年世界選手権のエキシで滑ってくれた。当時は滑り切るのが精一杯でいっぱいいっぱいだったあのプログラムが2014年にゆづが滑った時に感じたのが「物足りなさ」だった。今のゆづがやるには簡単すぎるほど余裕たっぷりだった。あの伝説のプログラムをエキシとしてもう一度滑ってくれたことに感動しまくりだったけどもう一度競技プロに戻すには確かに物足りなさを感じた。それほど彼は日々の、一年ごとの、進歩が凄い。ソチシーズンと今シーズンだって一年でこんなにスケーティングが滑らかになるのかって目を疑うぐらいスケーティングが柔らかくてエッジワークが格段に上手くなった。だってまだまだ若いんだもんね。世界王者で全てのスケーターが必死に彼の背中を追いかけているのに、そんな世界王者も毎シーズン成長するんだよ。他のスケーターからしたらなんて厄介な選手なんだろう。今の構成点でも鬼畜プログラムだとか言われてるのに、来シーズンはさらに構成点を上げるつもりでいるしね。本当に毎シーズン見てて楽しい選手だ。
ゆづのめちゃくちゃ頭がいいところが好きだ。頭がキレすぎてどんなトラブルがあったって少々のミスをしたって瞬時に対応できる頼もしい貴方が好きだ。
見た目はこんなに華奢で可愛い少年にしか見えないのに中身は人一倍漢なところが好きだ。何をしたら一点でも多く点数を貰えるか常に考えていて勝つことにとことん貪欲で、そして勝つために努力を惜しまない貴方が好きだ。
自分の意思をしっかり持っているところが好きだ。自分の思っていること、感じたことを忠実に言葉にして人に届けることができるあなたが好きだ。
そして何よりいつだって感謝の気持ちを忘れないところが好きだ。リンクに入る時だっていつも一礼をし、キスクラでも何回も「ありがとうございました」という言葉を口にし四方八方に礼をする、自分がスケート出来ているのは周りの関係者の多大なサポートのおかげ、いい演技が出来たのは会場のお客さんやいつも応援してくれるファンのおかげ、人のためにスケートをしているとき驚くほどの力を発揮する、いつも礼儀が正しくて情が深い貴方が大好きだ。
スケートしてる時のあなたが好きだし、スケートの練習をしてる時、人が変わったみたいに笑顔は封印して真剣な顔しているあなたが好きだし、逆にリンクを降りたらいつだって笑顔なあなたも好きだ。いつだって誰にだって笑顔で、苦しくても泣きたくてもそれでも笑うあなたが……好きだ。
王者の辛さはわかってるつもりだ。これからあなたは四年間戦い続けることを選んだんだから、四年間ずっと一位なあなたを見れるなんて思ってないよ。これから不調な時だってそりゃくるし、あなたが表彰台の真ん中に立てない時だってあると思う。それは想像しただけで苦しい。いや、想像なんかしくてもあのNHK杯は苦しかったもの。でも、大丈夫。ゆづがどんな時だって目を逸らさず応援することをもう決めたから。オーサーが「チーム・ブライアン」という本で最後に”ユヅルへ”から始まるゆづへのメッセージを書いてたんだ。そこにこう書いてある。
ユヅルは周りに気を遣うので、「自分が最高の状態であることをいつも見せれば、周りの人を幸せにする」と考えています。それがユヅルの優しさではありますが、あと四年間注目され続けるのは、ちょっと疲れます。
全て全力ではなく、ミスを受け入れるという境地に至って欲しいと思っています。ユヅルは格好悪いところを見せても大丈夫。日本のファンは待ってくれます。苦しむ姿にも共感してくれます。それに、ユヅルがどんな状況であれ、チーム・ブライアンがいます。
あなたの一番近くにこう言ってくれる人がいて良かった。あなたのコーチがこんな心強い言葉をかけてくれる人で本当に良かった。
オーサーの言う通りだよ。私たちはどんなあなただって受け入れるよ。あなたと一緒に壁を乗り越えれたらいいなって、そう思ってるよ。そして、四年後の平昌であなたの最高の笑顔が見れたら、いいな。それを何より望んでいる。
だって決めたんだから。あなたが「引退します」って言ったとき「お疲れ様でした。今までありがとう。」って、その言葉をあなたに掛けるまであなたを見守っていこうって、決めたんだからね。
まあ、ここまでダラダラダラダラ書いてきたけど、これが私の羽生結弦を好きになった経緯で、彼を好きになった理由だ。
なんか色々めんどくさいことも重いことも書いたけど、まあ今がこんなに楽しいからいいよね。その言葉に尽きる。フィギュアのことを沢山知って、彼を追いかけてる今が一番楽しい!だからなんだっていい!
とりあえず熱がどんどん高くなってく状態で、毎日毎日本当に楽しいんだけど、こうやって過去のことを思い出してみたら(っていっても好きになったのつい一年前だからそんなに昔ではない)、なんだか色々思い出すこともあるのです。無性に懐かしくなるんです。
そんな訳で、最初から最後まで自己満すぎる記事でしたとさ。
GPFの海外解説まとめ
バルセロナGPFの羽生さんのFS。
前の記事で海外の解説も素晴らしいよ〜ってある程度紹介したんだけど、あの記事更新してからもまだまだ海外の解説がわんさか出てきたので、改めて自分用にまとめます〜!
演技中ずっと黙ったまま見入ってて、途中で一言、
「私たちは今、とてつもないものを目撃者しています」
終わった後、
「一番信じがたいのはこの少年がグランプリファイナルに進出できたのはまさに奇跡的だったということ。最後の切符をギリギリつかみ取りました。そして見てください、彼がこのファイナルで成し遂げたことを。」
「彼は他の選手より頭一つ飛び抜けていましたね。」
(英・ユロスポ解説)
演技前に
「彼は目に映る夢です」
演技後
「羽生に対して最高級の形容詞が足りないぐらいですね。でも一つ思い浮かびました。魂を揺さぶる演技、感動的です。」
「素晴らしい。なんという復活劇だ。」
「今シーズンのベストスケーターとか、同世代のベストスケーターとかいう話ではない。彼は恐らく史上最高のスケーターである。」
基本的に辛口で有名なユロスポさんがここまでベタ褒めしてくれてるなんて( ; ; )
(イタリア解説)
演技終了後、
「惑星ハニュウにようこそ!住人は彼ひとり」
ここ最高に笑ったwww
スケヲタの中では散々今まで「人間じゃない」とか「TESの鬼」とか「宇宙人」とか言われてきたんだけど、ついに海外の解説者にも宇宙人認定されたw
「途方もないパフォーマンスだった。めったにお目にかかれないほど質の高い2本の4回転ジャンプ。最初から最後までエネルギッシュに力強く滑り切った渾身のプログラム、豊かな繋ぎ、これ以上ないほど質の素晴らしい多くのトリプルジャンプ。後半のトリプルアクセルも見事だった。」
「そして今、皆が訊きたいだろう、この選手は一体どこまで行くんだろうって。だって彼が頭に描いている今日のとは異なるフリープログラムを滑る切ることが出来たら、正直TES110点を余裕で超えるだろう。他の選手はTES90点に達するのも大変なことを考えると想像を絶することだよね。今大会TES90点に達した選手は何人いる?事実を言えば今大会90点台は誰もいない(笑)羽生だけが100点を超えた。信じられないことだよ。まさに歴史的瞬間だった。このような演技を再び見れることを願っているよ。」
ベタ褒め中のベタ褒めすぎて言葉が出ない…。ここまで言っていただいて本当に誇らしいです。ありがとう。
(イタリア別解説)
マンマ*1解説きたー!!!
演技後の
「マンマミーア!!!」健在wwマンマ最高www
マンマの解説聞いたことない人はニコ動で2014年世界選手権のイタリア解説のゆづのFSを聞いてみて(笑)もう演技後の「マンマミーア!ファンタスティコ!」が面白すぎて笑い死ぬからwww
マンマ相変わらずユヅルに萌え萌えしすぎwゆづのこと好きすぎるw最高w
「マンマミーア、ファンタスティコという言葉をユヅルに対してもう一再び使わずにいられるでしょうか!!観客は熱狂しています!素晴らしいスケーターというだけでなく人間としても素晴らしい!!」
「プログラムが終わる前に僕は彼のことを太陽系の他の惑星からやって来たスケーターと紹介したかったよ。本当にただ唖然とさせられるスケーター」
また海外の解説者に宇宙人認定されてる羽生さん…(笑)
「要素のクオリティーに目を見張らされる。見て、軽々と遠くまで跳んでいく、そして軽やかで流れのある着氷。このジャンプ要素、踏切にも空中での回転にも全く力を使っていないように見える。まるで彼はブレードで氷と戯れているようにさえ見える。」
得点が出た瞬間、
「出ました!194.08点!ユヅルの喜びを見て下さい!偉大なユヅル、あなたはファンタスティコよ素晴らしい技巧!これはこのファイナルを締めくくるに最も美しいシーンです!なぜならユヅルは根性を、そしてこのスポーツに対する情熱を見せつけてくれました。!!そしてそれに相応しい結果を獲得したのです。」
「本当にいつも言葉を失ってしまう。だって何というか、もう別の試合のようだった。結局のところ彼は自分自身と戦っていたんだね。」
マンマの興奮のしようが凄くて、もう一人の男性解説者も素敵なことを言ってくれていて感無量。
(中国解説)
中国解説は毎回選手の演技中は解説をオフにして全く話さないので、ほぼ会場音みたいな感じでw、カメラ音や観客の歓声が他の動画よりもよく聞こえてくるので、現場の雰囲気がよくわかって、そこもまた楽しめるよね!
演技後、
「彼は全てにおいてズバ抜けています。」
「羽生選手はどの難しい技も簡単に楽にこなせてしまいます。あたかも、この位置にいるならこの振り付けや技が当然のように見えますね。彼は最後に登場した選手として、全選手の中で最も完璧で、美しい演技を私たちに見せてくれたのです。」
中国で本当に大人気な羽生さん、べた褒めです。
相変わらず専門的で良い解説ー!
(ドイツ解説)
こちらは動画はありませんー!
演技後、
「もっと上手く出来るはずとか、小さなミスがあったとか、人はそういう事を言いたがります。だが、ユヅル・ハニューの演技は細かい所まで理想的だった、今回はそう言える。そしてライバル達を徹底的に震え上がらせました。」
演技中、次々とジャンプを決めて行く羽生さんを見て、もう笑い出す解説者w
わかるよ、凄すぎて笑えてくるよね(笑)
演技中、
「五輪王者かつ世界王者の最高の演技です」
「誰がチャンピオンになるかは即にわかっています」
演技後、
「美しい!なんて美しいんだ!素晴らしい!そう素晴らしい!」
「日の丸また昇りますね。この若者の演技を評価すべきです。点数が出る前ですが、即に優勝は違いありません」
点数が出る前なのに、「日の丸また昇りますね」と言ってくれてジーン( ; ; )
何度も何度も解説者二人とも「五輪王者。世界王者。」と連呼していて、何度もそう言いたくなるほど、五輪王者であり世界王者だと見せつけた演技だったんだなって改めて思いました。
「彼の演技は私たちにとって素晴らしいものです。素晴らしい!なんでこんなに上手に滑れるのでしょう!」
「この大会はもし羽生がいなくても素晴らしい大会にはなったと思いましたが、羽生がいたからこそ別格なものになりました。」
ゆづを抜いて現時点で一位だったスペインのハビエル。ゆづがいい演技を出来なかったらハビエルが地元スペインで優勝だったのに、解説者は(解説者だけじゃなくスペインのお客さんたちも)、心からゆづを褒め称えて素晴らしいと祝福してくれてて、本当に有難いです。
演技途中次々とジャンプを決めてく結弦を見て、
「こういったジャンプは、もしかしたら、天国から授け落とされて来るのかもしれない。そしてそれをキャッチするのにピッタリなのが彼だったんだ。」
「あのね、世の中には上手いスケーターがいて、そしてその上に偉大なスケーターがいて、そしてそれとは別にユヅル・ハニュウがいる。彼は全く別のレベルにいるのよね。」
「リンクの中ではロック・スター的な雰囲気を持ってるよね。会場を完全に掌握できる、という感じで。でも要するにこの子は持っている。スピード、フロー、スピン。そしてあのジャンプ、もうバカバカしいほどの素晴らしさだよ。」
演技後、
「世界チャンピオン、そしてオリンピックチャンピオンに相応しい滑りを見せました。ユヅル・ハニュウ、ショートの演技は良かったけれど、今日のフリーは秀逸でした。この技術点をご覧ください!」
「世界選手権、そしてオリンピックのチャンピオンが引退しないで、残って、そして本当に辛いシーズンの中、苦しみながらグランプリシリーズを潜り抜けて、最後にこういった滑りを見せてくれたっていうのが嬉しいね。スケートファンは感謝してるよ。」
「人間的にも、彼は本当に良い子で、スポーツマンシップもあって、我々のスポーツの代表としても素晴らしい。ファンにとっては本当に良い事だね。」
「彼のジャンプの形がどれだけ優れているのか、どう説明していいのか分からないなあ。四回転ジャンプの軌跡がこれほど完ぺきに空中で描かれるなんて。ちょうど良い高さ、ちょうど良い飛距離との対比、そのおかげで体は水上機が滑らかな湖面の上に降りるように着氷できる。しかも流れは損なわれない。そして彼の上体がジャンプする時も、そして着氷する時も、全く動かないって、どうなってるんだろう。」
「彼ってまさにフィギュアスケートをするために完ぺきに設計されたマシーンみたいね。私、こんなに生まれ持っての才能のあるスケーターは見た事がないんじゃないかしら。」
どこを切り取っても褒めてくれてて、切り取るところが多すぎるー!カートさんが相変わらずとてもいい事を言っていて、本当に嬉しい!
(NBC*3解説)
演技後、
「ディフェンディングチャンピオンが再び観客の心を掴みました」
「彼はオリンピックチャンピオンになる理由を持っている。この演技には戦慄が走る瞬間が沢山あったもの。」
「冒頭に素晴らしい四回転が二つ、後半には3Aを含む卓越した三回転三回転が二つ、そして彼のスタイル、オリンピックチャンピオンらしく滑った。羽生結弦の演技は何もかも素晴らしかった」
「オリンピックチャンピオンに釣り合ったカムバックだよ。この観客の熱狂ぶりを聞いてよ!」
ジョニーの低い声が相変わらず素敵!
(ポーランド解説)
演技後、
「素晴らしいプログラムだった。難しい入りのジャンプ、ただただ美しい、単に美しいだけではなく彼は音楽の解釈も素晴らしい。彼は本当に、私たちに美しい魂を見せている。氷の上でステップを踏むだけでオスカーのような素晴らしい俳優になった。」
「そして我々が言ったように、彼の素晴らしい才能。彼は見ていて非常に楽しく、ユニークなスタイルを持っています。彼は全てを持っている。」
「才能の話をするならば、羽生はまさにダイヤモンドだ。でも才能なんて始まりにすぎない。ダイヤモンドにはカットが必要だからね。彼には経験豊かなコーチがいて、彼の才能が素晴らしく磨き上げられていく過程を僕らは見ている。」
とってもとっても素晴らしい解釈!
技術の解説がわかりやすくて良い!
以上ですー!
とりあえず、どこもかしこもゆづの演技にベタ褒めで、また彼の演技やスケートだけではなく日頃の彼を知っているからこそ、彼は人間性も素晴らしいんだよと言ってくれてる解説者も何人もいて、よく見てくれてるなあと思った。本当に有難い。
12年のワールドニースFSでもソチSPでも14年のワールドさいたまFSでも思ったけれど、こうやって日本のみならず海外の解説者や海外のスケーター、スケートファン、観客に絶賛してもらうのは本当にファンとしても嬉しいよねえ。
逆に日本であまり評価されてなくても海外ではめちゃくちゃ評価される時だってあるんだよ。
海外の解説者が国境を超えて、自国の選手じゃないスケーターをベタ褒めしてくれる。また、海外の解説者がベタ褒めせざるをおえない羽生さんのスケート。本当に素晴らしい。
日本人として、ファンとして誇り。
こうなったらソチSPや14年ワールドFSの海外の解説も素晴らしいのが沢山あるから、ブログにまとめたいなあとか思うんだけど、このGPFだけでもめちゃくちゃ面倒くさかったから、いつやれるかはわからないw
沢山のお疲れ様とありがとうを。
今年を締めくくる大会、全日本。
公式練習の映像やWSを見る限り、結弦さんは確実にGPFより調子を落としていた。
まあ予想していたとは予想していた。
GPFに出た選手は、そこから全日本にもう一度調子を持ってくるのは本当に難しいことを知っている。
GPFから全日本までわずか二週間しかない。
去年、確かにゆづはGPFも全日本も優勝しているが、去年はGPFの開催地が日本。なので、GPFが終わってから移動なしでそのまま全日本まで準備ができる。でも今年のGPFはスペインのバルセロナで。つまりGPFで一度調子を上げてから、GPFを戦い、終わってから調子を下げて、約一日かけて日本に戻ってきて時差ボケを治して、そこから全日本にまたピーキングを持ってこなくてはいけない。本当に大変な仕業。
だからゆづは一言も自分の口から調子が悪いとは言わなかったけど、調子が悪いのは見てすぐにわかった。
それとGPFの氷は柔らかかったのに対して、長野の氷は結構固かったのかな…?テレビ越しでも選手が滑るとゴリゴリと音が聞こえたし、ゆづも公式練習の時から本当にジャンプを飛びにくそうにしてた。
SPの日。
まさかの生中継で放送してくれないフジテレビにキレつつ(笑)、現地観戦組のツイートでゆづの演技の結果をドキドキしながら待った。
前半の4T。完璧。
後半の3A。完璧。
3Lzで軸が斜めになり、3Tから2Tタノに変更。
現地観戦組から軸が斜めだったとは散々聞いていたけど、想像の何倍も前軸で驚いた(笑)
手をつくギリギリで堪えて、このまま3Tをしたら回転不足の上で転倒するだけ。基礎点70%の上に、GOEで大幅に減点。
ならば、2Tにして確実に着氷して、タノにすることで出来るだけGOEのマイナスを減らそうとあのコンマ何秒で考えた羽生さんは誰が見ても本当に天才的です(笑)
この人の頭の良さの頭の回転の早さには本当に驚かせる。セカンドを2TタノにしたことでURとられてないしGOEは−0.4で収まってます。これで3Tして無理に着氷してたら確実にGOEで二点以上引かれてたよ。しかもその上URだったら基礎点の70%だ。
そしてもし最初の3Lzで手をつくギリギリで堪えてなかったら、3Lz単独ジャンプのみになってしまいSPでは三つのジャンプのうち絶対一つはコンビネーション。しかもセカンドが二回転以上という取り決めがあるので、反則として3Lzの単独の基礎点がもらえない上に基礎点の70%になる。
だからあの状況でセカンドを2Tにしたのは一番点数が出る方法で、その考え方にあの短時間で至ったゆづは秀才。
得点、94点。
納得の点数なんだけど、プロトコル見てみるとステップ、スピンのレベルがオール3だと!?おおん!?!?となり、久しぶりにスピンの回転数を見返してやった(笑)
確かに言われたら回り切ってないまま次の姿勢に入ってるね…。でもこれ世界大会だったらきっとオッケーにしてレベル4くれるだろうに容赦なくレベル3にしてくるあたり、例年以上に全日本のテクニカルパネルが厳しい…(笑)
SPで二位につけたまっちーもスピンはレベル3とレベル2。ステップはゆづと一緒のレベル3で、おお…まっちーのあのステップでさえレベル3にしてくるのか。じゃあゆづはどう見てもGPFより動けてなかったしレベル3か。と納得してしまった。
それでも4Tと3AのGOEで満点3点貰ってるゆづ。恐ろしいこの人。
今回の全日本、女子もめちゃくちゃ回転不足とられるの厳しくて、エッジエラーも容赦なくとってて、確かにちょいちょいこれでURとるかなあ…?ってやつもあったんだけど、私はそれでもいいと思う。
確かにこれが世界大会だったら、とられなかったURやDGやエッジエラーがあったかもしれない。でもその逆の場合だ。ナショナルの採点がユルユルで少しぐらいの回転不足やエッジエラーを見逃して、いざ世界大会でそこで減点されてからじゃ遅い。
世界では今、男子は確実に日本男子が最強だ。こんな強い国日本しかいない。だけど、女子はロシアが最強。日本女子もジュニアに素晴らしい選手がいっぱいいるから未来は明るいなあとは思うんだけど、それでもロシアには敵わない。
そんな最強のロシア女子にこれから対抗していくには回転不足やエッジエラーで減点してたらダメだ。だから容赦なくナショナルでも減点させてもらう。っていう日本スケート連盟の覚悟なのかと思うとそれでいいと思うし、その心意義が素晴らしいと思う。
ゆづの調子が悪いとわかっていたので、GPF以上にドキドキしたけど、それでも4Tと3Aを確実に決めてそしてGOEで満点をもらう。コンビネーションでミスをしてもすかさずリカバリーできる。
そして90点以上は確実に出してくるんだから、この人やっぱり強い。
次の日のFS。
公式練習は相変わらず調子がやっぱり良くないし、4Sは全然ハマってなかった感じだし、相変わらず不安でいっぱいでした。
4S回り切って転倒ね。パンクはダメだよ。抜けが一番怖いよ。と、とりあえずFSの前から念じまくってた私(笑)
一般の人たちで勘違いしてる人が多いからこれ覚えてた方がいい。スケヲタの口癖。「パンクは転倒より怖い」
簡単に説明すると、例えば4Sの基礎点は10.5点。
もしこれを完璧に回り切った上で転倒したらGOE−3点で7.5点はもらえる。
しかし、パンクして3Sで着氷する。
すると、3Sの基礎点4.2点しかもらえない。
これだけで3点以上差がある。一般の人は今だに転倒してるからめちゃくちゃ点数引かれる。いくら回転数が減ってもきちんと着氷してるんだから点数はあまり引かれない。っていう認識がありすぎる。
でも違うんだよ。
転倒して点数が引かれるのは旧採点方法の話。新採点方法でそれが見直された。
昔からスケート見てるくせに今だに転倒したのに一位とかおかしい!!!とか言うバカがいるけど、こういう奴らは知った口して平然と批判するから本当に一番厄介。新採点方法が受け入れられないなら、スケート見るのもうやめろよ。
だから「パンクは転倒より怖い」のだ。
ゆづは公式練習のときから4Sがパンクで2Sになったりシングルになることが多いからそれだけはダメだよと何度も念を押してた。
FS本番。
4S。転倒。でも回り切ったね。
よし、大丈夫、大丈夫!
4T。
3F。
3Lz-2T。
3A-3T。
3A-1Lo-3S。
3Lo。
3Lz。
4Sで転倒して、だけどそのあとは全てパーフェクト!素晴らしいよ!
しかも危なっかしいジャンプなんか一つもなく全て加点がつく素晴らしいジャンプ。
そしてSPでも前軸になり、GPFでは転倒した3Lzを見事に修正してきたー!ふわっと降りる綺麗なジャンプ。
特に最後の3Lz単独を決めた時に何故か鳥肌が立った。その背中を見て、鳥肌が立った。
そんな中でもサルコウ以外のジャンプを全て決めた。
一つジャンプを転倒したってやっぱり一人だけ圧倒的に強いんだよ。
ジャンプの着氷の綺麗さも一つ一つのエルメンツの完成度の高さも技術点の高さも何もかもがやっぱりダントツで。見てて、こんな人に誰が勝てるんだろうって思えてしまう。
海外の解説者も日本の解説者もみんな口を揃えて言うけど、やっぱり彼だけ別次元のスケーター。いつの間にか彼だけ別次元になってしまった。
FSの得点192点。他の選手がTES多くて80点台に対して、一人だけ100点超えてる結弦さん。二位の昌磨を結局30点以上引き離して優勝。3連覇。
無事に演技が終わって全ての方向にいつも以上に丁寧にお礼をするゆづ。オーサーの元へ向かう途中、ファンに何かを言われてそれに応えてニコッと笑い「ありがとう」と言う表情が恐ろしいほど2012年の17歳のときのニースの羽生さんの表情と被って驚いた。
キスクラでGPFと変わらず笑顔なんだけど、なんていうか覇気がない。本当に本当にお疲れの顔してる。笑ってるんだけど、なんか儚い。尊い。このまま消えちゃいそうなぐらい尊い。
疲れたよね。この八週間本当に大変だったよね。いっぱいいっぱい頑張ったよね、お疲れ様。本当にお疲れ様。そして3連覇おめでとう。
次の日、腹痛の精密検査をうけるためエキシビを欠場と。演技見ても表情見ても本当にお疲れなのは誰もが分かってたけど、私たちが思ってた以上に疲労が溜まって大変な状態だったんだね。
FSが終わった時、お腹を抑えてたのはそういうことか。腰痛だと思ってたけど、腹痛だったのか。GPFのときから継続的に腹痛がきてたって。中国杯のアクシデントのときに入ったみぞおちが原因なのかな。どうか大事には至りませんように。
エキシビは出なくてよかったかもね。本当にがんばったから、今こそ神様がしっかり休みなさいって言ってるんだよ、きっと。しっかり休んで体調整えて世界選手権で元気な姿、見せてね。
とりあえず今年、その華奢な背中で沢山のものを背負って、弱音をはかず最後まで頑張り続けてくれて本当にありがとう。
全日本最終結果とその選手たちの今シーズンの結果だけをあげてみると
一位 羽生結弦(GPF優勝)
二位 宇野昌磨(JGPF優勝)
三位 小塚崇彦
四位 町田樹(アメリカ大会優勝・GPF出場)
五位 無良崇人(カナダ大会優勝・GPF出場)
六位 山本草太(JGPF準優勝)
となる。
日本男子の何が凄いってグランプリシリーズで優勝したりGPFに出場できてる選手でさえ表彰台に上がれないってことだ。日本男子のレベルの高さが恐ろしい。
全日本は毎年沢山のドラマが生まれる。
ゆづもよく「全日本は違う。全日本は緊張する」と言っているし、沢山の選手が口を揃えて「全日本が一番大事」だと言う。
全日本がどれほど独特な雰囲気に包まれた中の試合なのか、そして選手がどれだけ全日本王者の名が欲しいかはよく知ってる。
去年は確かにソチ五輪選考会も兼ねていて例年以上に殺伐とした雰囲気だったということはわかってる。でも今年だって世界選手権3枠はGPFに出場した羽生・町田・無良がかたいと思っていたのに、台乗りしたのは羽生・宇野・小塚で、おいおいこれどうなるよ…って激戦中の激戦だった。
今は日本フィギュア界ではもちろんゆづがダントツで人気だし、全日本の観客もほぼゆづファンだってわかってる。ゆづへのプレゼントの数はやっぱり誰よりも多いしバナーの数も多い。
でも、この全日本。歓声はゆづがダントツって訳では全然なくてどの選手にもいい演技をしたら盛大な拍手で讃えよう。良くなかったら温かい拍手で後押ししてあげようね。っていうのがこれほどまでに伝わってきた温かい会場だった。
そしてやっぱり今までの全日本は異常だったんだなと改めて気付く。
だって今でも2012年の全日本はゆづが初めて全日本優勝したときだったのに表彰式のゆづの表情が見てられない。
確かにFSでは大ちゃんの方がいい演技をしたけど、それでも優勝したのはゆづだった。なのに何故会場が優勝者を祝福してくれる空気じゃないっていうのは本当に辛かったしショックだった。
あの時はどれだけゆづのファンは盛大にゆづに拍手してあげたくても会場にいるのは殆どが大ちゃんファンでゆづファンがどれだけ拍手してもその拍手は少ないものにしかならなかった。
大ちゃんからゆづへと世代交代がハッキリ目に見えた瞬間だった。
今はこうやってゆづのファンが殆どになった。
あの時からゆづのファンだった人たちが、あの時あんなことされたから私たちも他の選手の時はああいう対応してやろうね。じゃなくて、あの時に嫌な思いしたからこそ私たちはどの選手にも温かく応援しようね。って思ってるんだと思うと、私はそれは本当に素晴らしいことだと思いました。
今回の全日本は今までと打って変って激戦だけど会場は温かくて、SPでのまっちーへの拍手の大きさ、FSでのこづへの大声援を見て、お客さんのそんな気持ちが伝わってきて、見てて本当に気持ちの良い大会でした。
2012年の全日本選手権を見たときに私が決めたことは、下り坂こそ美しくしようということ。私はあの頃の大ちゃんファンのようには死んでもなりたくない。
ゆづもこれからもしかしたら他の選手に抜かれるときが来るかもしれない。ベストの演技をしたのに負けるときが来るかもしれない。その時に一位の選手を心から「おめでとう」と言えるファンであろうと。そう心に誓った。
実際、フィギュアスケート選手は海外も国内も魅力的な選手が沢山いて、一人ずつブログで紹介してやりたいぐらい好きな選手がいて(笑)
もちろんゆづを一番応援してるけど、あの選手にも勝ってほしい、あの選手にも表彰台のぼってほしい!ああ、表彰台三つじゃ足りない!!!って毎試合思ってるから私(笑)
だからこそフィギュアスケートにどんどんのめり込んでいくし、これからもどの選手も心から応援できるそんなファンでありたい。
GPF、全日本とゆづを見て改めて思ったことは、今、ゆづは孤独だ。
それは周りに人がいなくて孤独とかそういうことではなくて、世界王者故の孤独。
GPFも全日本もゆづは自分の演技をしっかり出来るとこうやってダントツで勝つ。
2012年はゆづは大ちゃんの背中を追っていた。そして大ちゃんを抜かして、2013年にはソチ五輪金メダリスト候補の世界王者パトリックチャンの背中を追っていた。
そして2014年、これらのライバルに勝ち見事ソチ五輪金メダリストになった。
王者になったことで追う背中が誰一人いなくなった。
勝ち方も二位を30点以上突き放す圧倒的な勝ち方で確かに強い王者。
世界のトップスケーターも口を揃えて「ユヅルには敵わない」と言う。
それは確かに、確かに素晴らしいことだ。
だけど、それが孤独でもある。
誰も自分の背中を追ってくれず、常に自分一人だけの戦い。
フィギュアは元から自分との戦いであるスポーツだけど、それでもヨナと真央、ヤグとプル時代を見てると、最大のライバルがいることで更に強くなり、そして試合に楽しみを見出すことができる。
ゆづは人より倍ほど負けず嫌いな選手だから、競い合う選手が必要なんだ。
王者は孤独。
ねえ。
でも、そんな中で2014年の世界選手権で結弦のライバルとして名乗りを上げてくれたのがまっちーだったじゃないか。
ソチ後の世界選手権、絶対ミスらなかったSPパリの散歩道で珍しく転倒してしまったゆづに対して、パーフェクトな演技をしてSP終了時点でゆづを六点引き離して、俺はお前を倒してやるぞと宣誓布告してくれたのがまっちーだったじゃない。
まっちーがゆづとしのぎを削る壮絶な戦いをしてくれたからこそ、ゆづの目にまた火が灯った。ゆづが世界選手権でソチ五輪のリベンジとしてFSでパーフェクトな演技ができたのは間違いなくまっちーがいたからだって、私、思ってたんだよ。
表彰台の一位・二位を男子では初めて日本人選手が独占して、二つの日の丸を上げてくれた。
あの時の絶景、忘れたことなんてなかった。
表彰式の後、二人でインタビューエリアで「結弦がいたからここまでできた」「樹くんがいたから楽しかった」って言う二人を見て、なんていい関係性なんだと。
この二人が、大好きだった。
歳は四つも離れていて、スケートのタイプも性格も何もかもが正反対で絶対この二人気が合わないだろうなあ〜って思ってたのに、実はジュニア時代から不思議とウマが合ってて。
昔からとってもとっても仲良しで。ゆづは間違いなく日本の年上のスケーターの中ではまっちーが一番好きだったと思う。
お喋りな二人。話なんて全く合わなさそうなのに、まっちーの何を言ってるかよくわからない難しい話()を笑顔でうんうんって聞いてるゆづを見るのが好きだったし、ゆづの弾丸トークを「そうだねえ」って優しく相槌打ってくれるまっちーを見るのが好きでした。
「来年は僕、これ(金メダル)狙います」
世界選手権後にゆづとまっちー二人のインタビューでゆづの金メダルを指差してまっちーが言った言葉だ。
ねえ、まっちー。来年は狙うって言ってくれたじゃないか。なのになんでやめちゃうんだよ。
「来年は容赦なくぶっ潰す」
まっちーにそう宣誓布告されたときのゆづの嬉しそうな笑顔。
ゆづの王者ゆえの孤独を救ってくれたのがまっちーだったんだ。ゆづにライバル発言してくれることがまっちーの最大の優しさだった。
まっちー、まだゆづのことぶっ潰してないじゃない。
全日本前にゆづとまたしのぎを削る戦いをしたいって。彼もあの性格だからそれを望んでるって。言ってくれたじゃない。
それ聞いた時、私ほんとに嬉しかったんだよ。
ゆづもきっとまっちーがライバル発言してくれて本当に本当に嬉しかったはずなんだよ。
全日本のSPでまっちーが素晴らしい演技でゆづの後に続いて二位についたとき、ああやっぱりゆづを抜かせるのはまっちーしかいない…!って確かに思ったんだ。
世界のトップスケーターの中でもゆづと勝負できるのは私が見る限り、まっちーだけだった。
まっちーにもしかしたらいつかゆづがぶっ潰される時が来るかもしれないって思ってた。そう思えることが、本当に、嬉しかった。
まっちー。本当に、本当に、やめちゃうの…?
嫌だよ。嫌だよ嫌だよ。
寂しいよ。ゆづとまっちーの表彰台での2ショットがまた見れると思ってたから、もう見れないなんて、そんなの、嫌だよ。
受け入れなくてはいけない運命だって分かってるけど、まっちーのこと大好きだから、そんな簡単には受け入れられないよ。
でも突然発表したとき、私たちファンも他の選手も唖然としていたけど、まっちーだけ対照的にめちゃくちゃ晴れやかな笑顔だったんだよ。
少しでも悔いがある顔、悲しそうな顔してたら「まっちー戻ってこい!」って大声で言えるのにね。絶対に彼は泣かなかったし悔いなんて本当に一つもない顔してたんだ。
そんな顔を見たとき、ああこの人をちゃんと送り出さなきゃいけないんだって思った。
GPFが終わった時「GPFはコンディションも最悪で、最初は辞退しようと思った」って言っていて、それは卒論が大変だからだとわかっていた。その後にまっちーが繰り返し繰り返し言っていたのが「GPFより全日本を優先したかったから辞退しようと思った」
全日本が大切な試合なのはわかってるんだ。わかってるけど、ゆづがGPFにどうしても出たかったようにまっちーがGPFより全日本のほうが大事って試合に大小をつけてるのがなんかまっちーらしくなくて。
「え、なんでそんなこと言うのまっちー」って正直思ってた。わかってるけど、その言葉は聞き捨てならないよって。
来年の世界選手権のことも今年もGPFのことも殆ど語らなかった。ただ、本当に全日本に思いがあるようなのは伝わってきて「全日本観に来て下さいね」って。
全日本をいつも以上に大切にしてたのは、今年のまっちーのフリープログラムが第九だからだと思った。
「GPFでは完成させることが出来なかった第九を全日本で完成させたい」
って。
まっちーよ。でも、私たちはまだ完成した第九を見せてもらってないよ。
シーズン最初に第九のイメージを「極北」だと言ったまっちー。
極北だって。また語録が出たよ。とクスクス笑ってた私たち。
今気付いた。
「極北」の先には、何もないんだ。
「僕からはこの言葉について語ることはしない。感じ取ってほしい」
そう言った町田さん。
ああ、そうだったんだ。
まっちーは全日本でやめるって決めたのは当日だったとしても、少なくとも今シーズンで終わるつもりでは最初からいたんだね。
だからこそ、最後にあの難しいプログラム第九を覚悟して披露してくれたんだ。
全てのことに気付くのが、遅すぎた。
何もかも、気付くのが、私たちは遅すぎた。
終わってから気付いても、もうどうしようもないのに。
全日本のSPでの素晴らしい演技。
そしてその後必死に込み上げてくるものを堪えてた町田さんの表情、忘れてません。
そして今年の世界選手権のエデンと火の鳥。本当に最高の演技だった。エデンの後のお客さんの熱狂様が未だに頭にこびりついてる。一生、忘れません。
本日、引退することを決めたって。
コーチにも朝話したって。スケート連盟にも他の選手にも誰にもあの発表の時まで話してなかったって。
本当に自分一人で決めて、誰にも相談せず、一人で決めて。
なんかそれがすっごいまっちーらしいなあって。
その場に羽生さんもきっといたかっただろう。絶対絶対いたかった。そしていてほしかった。
病院でまっちーの引退を聞いたゆづを想像するとまた泣きたくなる。
もし、その場にゆづがいたら、きっと泣いてたんだろうね。泣きながらまっちーに抱きついてたはずだ。それをまっちーが抱きとめ爽やかに笑いながら「結弦、今までありがとうね」とか言って。
それを私たちも見たかった。けど今でもこんなに泣きまくってるんだから、それを見たら泣きすぎて立ち直れないところだったね(笑)
でも、あなたのことが大好きで、そして最大のライバル結弦にもいつかきちんとさようならを言ってあげてよ、まっちー。その場面は私たちは見れなくても、もういいから。
まるで。
まるで、花火のような男だった。
つい二年前まで五輪出場選手候補にも入ってなかった。それが五輪シーズンに「五輪に出る」と言い、見事その言葉通り激戦の五輪の出場権を堂々手に入れ、五輪出場後に「僕は世界で通用する、世界でメダルを争える選手だということがわかった」と言い、その言葉通り一ヶ月後の世界選手権で五輪チャンピオンとメダルを争い合った。
まっちーの独創的な完成度の高い演技を見て、まっちーの時代がきたぞ!ってなって、これからどんどんどんどん強くなるぞ、ゆづを脅かす存在になるぞってワクワクしてたら、突然「引退します」って言い晴れやかな背中でリンクを去って行った。
まるで、何も悔いも、リンクにはもう残してないように。
普通ならどれだけ研究の方が楽しくなったって世界選手権で終わるのが妥当だと思う。そう考えるのが普通の選手だと思う。でも、そうしないのがまっちーで。一回やめると自分で決断したらすぐにスパッとやめる。最後の最後まで町田樹らしい去り方でした。
町田語録が出るたびに私たちは楽しませてもらったし、町田樹にしかできない独創的な芸術性の高い演技にいつも魅了されてました。
競技者としての町田樹をもう一生見れないなんて本当に辛いです。悲しいです。せめて、あの全日本の第九を最後だとわかった上で見たかったという思いは今でもあります。
引退の時なんていつ来るかなんてわからないんだなあと改めて思った。ここまでやるよと宣言してくれる人もいれば、急にやめると言う人もいる。そして、誰だっていつかは引退する時が来るんだね。
芸能人みたいに何年も何年も出来るもんじゃない。いつかは絶対終わりが来る。
そのことを今回で改めて実感できたから、いくら同じプログラムでも一つ一つの演技がその時にしか出来ないものだからしっかり目に焼き付けていくべきだなあ。
まっちー、今でも嘘であって欲しいと思ってるよ。
「冗談でした☆」って言われたら手放しで喜ぶぐらい信じたくないよ。
でも、まっちーが決めたことだから。
私たちは悲しくても辛くても嫌でも笑顔で見送らなくてはいけない。
今までありがとうございました。
本当に本当にありがとうございました。
あなたの演技に沢山の夢や勇気を貰いました。
まっちーのことだから第二の人生もきっと光り輝くものになるんだろうね。
あなたの幸せをずっと願っています。
まっちーの言葉で叶っていない言葉は沢山ある。
有言実行していなかったからこそ、私たちは「なぜ今、やめるのか」と問いかけた。彼にそう問いかけたかった。
だけどその叶っていない言葉以上に、言葉通りになったことも沢山あった。有言実行したことだって沢山沢山あった。
だから、もういいんだ。
何よりまっちーがもう何の悔いもないって晴れやかな顔をしてたからもういいんだ。
未完成なものほど、時に美しい。
セカンドステージに進むあなたに沢山の花束を。
夢を与えてくれたあなたに大きな感謝を。
ありがとう。
お疲れ様でした。
GPF優勝おめでとう!(後半)
GPF後半です〜〜。
次の日のFS。
最後の公式練習。ゆづはまたまた曲かけでジャンプがパーフェクトで決まった。
現地の人のレポで、ゆづ曲かけパーフェクトと聞き、みんなが思ったのが、よし!って気持ちより前に「え、ゆづ大丈夫?今いい演技しちゃって本番で大丈夫?」って気持ちだったと思う(笑)
フィギュアスケートってほんとに難しいもので、事前の公式練習が良くても本番は全然良くないことなんかよくあるし、逆に公式練習めちゃくちゃ調子悪くても本番はパーフェクトってのもある。
公式練習も良くて本番も良いってのも勿論あるんだけど。
公式練習で調子が良いからって調子に乗ってジャンプを跳びすぎるのも良くないし、上手に自分をセーブしなくてはいけないから本当に難しい。
ピーキングというものがあり、公式練習初日の三日前から調子がバリバリよかったら、これはまだ早いと思う。三日前などはあまりジャンプを跳ばず、もしくは跳んでも全然調子が悪くてもいい。そこから本番までうまーく調整して、本番にピーキングを合わせることが何より大切らしい。
増しては男子のFSはトップ選手は全体的に難しい構成点にしてるし、SPは良くてもFSでボロボロに崩れる人が多い。
今、FSで四回転は二回以上、そして3Aも二回組み込まないと表彰台の真ん中には立てないハイレベルな男子シングル。
そんな中で更にトップ選手の中でも倍ほど構成点が鬼畜すぎるゆづが公式練習でジャンプパーフェクトっていうのは、簡単に安心は出来なかった。
信じてはいたし、勝って笑顔のゆづが見たかった。
でもどう切り替えても不安の気持ちは消えなくて、誰よりも好きで応援してるだ からこそ不安な気持ちがあって。
ゆづ、SPで一位に立てたからそのままの勢いでぶっ飛ばしすぎなんじゃないかな。
スケート自体を楽しみすぎて、これは試合だから戦わなくてはいけないということを忘れているんじゃないかな。
とか。そんなバカなことばっかり考えてて。
そしてついに本番。
また朝の五時起き(笑)
六分間練習から。
ゆづは、六分間練習でいつも通りウォーミングアップがてらに3Loを跳んだあとに、続いて3Fを跳んだ。そしてその後、ニヤリと一人でに笑ったように、私には見えた。
実は、あの中国杯の時、3Fの助走に入った時にハンヤンとぶつかってあの様な事故が起こってしまったのだ。
3Fは前、後ろと前後にクルクル回って最後に前を向いて跳ぶジャンプだ。
ゆづの3Fの入り方はまず前を向いてジャッジの方に向かって手を伸ばしアピールしてから後ろを向いてまた前を向いて3Fを跳ぶ。
中国杯では前を向いてジャッジの方に向かって手を伸ばして次に後ろに向いた時にジャンプの進路方向にハンヤンがいることに気付いてそのままぶつかった。
だから、3Fとはゆづの中でかなりトラウマになってるはずのジャンプなんだ。
それに対して、ゆづが「NHK杯の六分間練習の3Fは流石にビビりました。」って。
続けて「後ろに誰もいないこと分かってるんです。人の気配もしないし風も感じない。分かってるのに、どうしても後ろばっかり見ちゃう。3Fってまず前に手を伸ばしてジャッジにアピールしてから後ろを向かなきゃいけないのに、ずっと後ろばっかり見てたんです。それで結局パンクして、ああ、俺ビビってるなってその時思って。」
可哀想に。
彼はこれから3Fの助走に入るたびにあの時の事を思い出すんだ。可哀想に。
そのインタを聞いたときほど、彼の心の傷の深さを痛感したことはなかった。
しかし。
そんなNHK杯から二週間後のGPF。
彼はあの時と同じFSの六分間練習で3Fの助走に入りしっかり前を向いて手を伸ばしてから後ろを向いて、そして綺麗に着氷し、その後ニヤリと笑ったのだ。
実際私の目には笑った、しかも不敵な笑みをしたように見えただけなんだけど、私にはそれが「もうトラウマなんかないぞ」「俺は大丈夫だぞ」っていう笑いに見えた。
そのあと何を跳んだか正確には覚えてないけど、3A-1Lo-3S、4Tは一回で綺麗に着氷。
4Sはお手つきで、二回目で完璧に着氷。
昨日のSP見ても思ったけど明らかにNHK杯と違うんだよ。明らかすぎて誰の目にもわかるんだよ。
SPはジャンプ三つ、うちコンボが一つに対して、FSは確かに時間も長く要素も多くジャンプは八個、そしてそのうちコンボは三つも入れなくてはいけないから、六分間練習で確認したいことが沢山ある。そんなFSの六分間練習をいかに上手に使うかがかなり大切になってくる。
今回のゆづは引くほど落ち着いていた。
そして自分のペースを何よりも守っていた。公式練習も自分のペースで後から入ってくる、六分間練習前にリンクサイドに登場するのも最後だった。六分間練習では確認したいことが終われば残り時間は無理にジャンプを跳ばず楽に滑っているだけだった。
この周りのペースに全く乱されず、自分のやるべきことだけを正確にやり、冷静で落ち着いていた。
ああ、いつものゆづだ。
いや、私が見た限り、以前以上に六分間練習の使い方が格段に上手になってるような……
六分間練習も終わり、いざ本番。
SP一位だったので最終滑走で登場してきたゆづ。
復活の、ファントムが、始まる。
4S。
降りた!嘘だろ!?!?降りた!サルコウを降りた!!!!!しかも着氷めちゃくちゃ綺麗!降りた!!!!!!!
4S、基礎点10.5点+GOE*22.43点=12.93点
ちなみにサルコウ着氷した時点で私、泣いてた。号泣だった。←
だって今までどれだけ調子いいときだってゆづはサルコウ転倒してたんだもん。そんな人が今回に綺麗に着氷したんだよ。あれだよ、ソチ五輪の真央ちゃんが3A着氷して、その時から終わるまでずっと泣いてたのと同じ気持ち。
4T。
パーフェクト!音ハメ天才かよ!!!着氷した瞬間流れる「ジャーンジャジャジャジャーン」たまんね!!!
そして着氷のフワッとした感じたまらかいね。これこそゆづるさんの4Tだ。重さが全くない。四回転回ってるようにはとても思えない。
4T、基礎点10.3点+GOE2.71点=13.01点
GOE2.71点って…。素晴らしすぎる。
ゆづるさん、二つジャンプ跳んだ時点でTES*325点超えてるぜ…。信じられない。
3F。
よし、おっけーおっけー。
3F、基礎点5.3点+GOE1.2点=6.5点
三回転ジャンプでGOEが一点以上出る男。恐ろしや…。
し!か!も!エッジエラーとられてません!エッジエラーっていうのは、このF(フリップジャンプ)ともう一つLz(ルッツジャンプ)はエッジ*4がアウトサイドとインサイドできちんと分けて跳ばなきゃいけないんだけど。
このFとLzの両方をきちんと正確に跳べる人ってほんとにごくわずかで、スケーターの中で殆どの人がどちらかのジャンプでエッジの使い方を間違えてる。
エッジの使い方を間違えた場合、エッジエラーというものを取られてしまいジャンプそのものの点数を減点されるのね。しかもGOEでもマイナスがつく。
このGPFのジャッジは、他の大会以上にエッジエラーの取られ方が厳しくて、ジュニア選手や女子選手もエッジエラー取られたために点数が伸びない人がボロボロいて。
何よりこのエッジエラーが取られるLzとFで三回転の中ではアクセルを抜いて(アクセルは三回転半なので)一番、二番にジャンプの基礎点が高い。*5
そんな基礎点が高いLzやFにエッジエラーを取られる人と取られず正確に跳べる人とで大分と点数に差が出てしまうのね。
しかしそんなエッジエラー。素人目に見たら全っっっくわかりません(笑)
私もフィギュアのルール、めちゃくちゃ勉強したから、ジャンプの見分け方、URやDG*6、スピンがレベル取れてるか、スピンの種類の名称とかは見てたらすぐに分かる様になったけど、エッジエラーは本当に一生わからねえw
エッジエラーってプロのスケーターや解説者でさえたまに間違えるから、そんなの素人には簡単には見分けられないことだと思ってて、もう見分けることを諦めてるからね私。
まあ、ゆづはフリップジャンプでエッジエラーがつく癖が昔からあったのね。
今シーズンはルール改正で昨シーズンまで以上にエッジエラーの取られ方が厳しく、減点も沢山されるようになったから、ここでとられるのは本当に痛くて、ヒヤヒヤだったけど(なんたって自分の目で見てもわからないしw)
それが、なんとついてなかった。しかも一点以上加点されてた。
このお方、いつの間にフリップジャンプを完璧に矯正したんだ…。エッジエラーの取られ方が厳しくなった今シーズン、一回も3Fにeがついてないぞ。凄い。
そして、その後のスピン。
フライングキャメルからドーナツスピン、足変えシットからレイバックでビールマン!!!
きた!ビールマンスピン復活!!!泣ける〜。きっちりレベル4とってる。
この後のステップ。
レベル4じゃなくてレベル3だ。まあ、妥当っちゃ妥当。次はレベル4取れたらいいね。課題だね。
でもこのステップの前に手を伸ばしてファントムが仮面を外す振り付け本当に好きだよ〜。好きすぎてたまんないよ〜。仮面を外してありのままになったファントムはジャッジ席にセクシーにアピールしながら気持ち良さそうに歌を歌う。
(当社比では今回の歌うところはまだ控えめw)
演技後半に入ります。
3Lz-2Tタノ*7
いいよ!昨日は3Lzで軸が前に傾いてたけど今のは綺麗!家出なさってたルッツさん!おかえり!
(ってこの時は思ってたんだけど…w)
3Lz-2T、基礎点7.3点×後半1.1倍=8.03点+GOE1.00点=9.03点。
3A-3T。
クリーン!相変わらず3Aは加点モリモリつきそうなぐらい綺麗な上に絶対ミスらない!
3A-3T、基礎点12.6点×1.1倍=13.86点+GOE2.29点=16.15点。
後半の体力的に厳しい中で、クリーンに着氷してGOE2点以上出すゆづるさん…。
3A-1Lo-3S
神!!!!!もうこの時マックス興奮してた!!!!後、個人的にこれ跳んだ後、音楽がガラッと変わる感じ大好きですよ!!!
3A-1Lo-3S、基礎点13.2点×1.1倍=14.52点+GOE2.14点=16.66点。
彼はFSで入れなきゃいけないコンビネーション三つを全て後半に入れてるのね。
しかもそのうちの二つは3Aのコンボ。こんなことしてるの羽生さんだけなの…。他の人は後半体力厳しい中でコンボを三つも跳ぶ、しかも3Aなんてとてもじゃないけど跳べないの。彼は全てクリーンに決めれる上に、加点もこのようにモリモリ。彼がいかに凄いことをやってるかってことです。だってこの二つの3AのコンボでTES32点以上稼いでますからね。もうただの怪人ですよ…。
3Lo。
この人はウォーミングアップで3Lo跳ぶような人だからまあ余裕ですよ。
3Lo、基礎点5.1点×1.1倍=5.61点+GOE0.9点=6.51点。
七つのジャンプをパーフェクトに決めて、残り一つ。残り一つだ…。
盛り上がりまくる観客。あまりの凄さに震える私。
最後のジャンプ。
3Lz。
転けたー!!!!!!!!!!!転けたでこの人ー!!!!!!!!!!!!!wwwwwwwww
もうさ、早朝五時にみんなが寝静まる中、真っ暗な部屋のベッドの上で布団かぶってあいぽんにかぶり付きでライスト見てた私が、たまらず「えぇえええー!!!」って、言った。
同じ部屋で寝てるおかんに死ぬほどブチ切れられた。
声抑えきれなかったよね、これ。
さっき、3Lzのコンボ跳んだときLzさんに「おかえり!」って言ったのに!www
一瞬帰ってきてまた出て行かれたルッツさん……。Lz捜索願い出さなあかんこれは。
転倒して起き上がったゆづも笑ってた。めちゃくちゃ笑ってた(笑)
3Lzの基礎点の70%=4.62点、GOE−2.1点=2.52点。
まあ、3Lzさんはご愛嬌ってことで(笑)
完璧な演技は来年三月の世界選手権にとっておけって3Lzが言ってるってことで。それまでに3Lzさん見つけ出そうね(笑)
最後のステップ。
イナバウアーの入れるタイミングがいつも天才的。泣かせるな。
最後のスピン二つ。
レベル4!オールレベル4だ!素晴らしい。
スピンとスピンの間で、ゆづるさん自分の顔を撫でるんだよなあ。これって最後にまたファントムが仮面をつけた振りなのかな。
そしてフィニッシュ。
終わった時のアップになった時のこの顔。
泣ける。泣けないわけ、ないだろう。
途中で仮面を外したのに、最後にまた仮面をつけたファントム。
オペラ座の怪人は悲しい恋の物語だ。
だけど、今回のオペラ座の怪人は間違いなく、ハッピーエンドだった。
だって正直こんな顔するゆづ初めて見たんだよ。
自分でも嬉しくて嬉しくて興奮して少し涙を目に溜めてるこの顔。
一言では言えないんだけど、本当に、本当に本当に本当に今まで見てきたゆづの表情の中で一番いい表情してた!!!
本当に号泣なんだけど、これ何回見ても号泣なんだけど、ゆづるさんちょっといいですか。
地上波では表示されてないんだけど、ライストでは、画面左上にTESカウンターってのが表示されてるのね。
上が今まで滑った人の中で最高得点の人のTESで、下が今滑ってる人のTES。
ジャンプ跳んだりスピンするごとにこれが増えていくから、今何点入ったのかすごくわかりやすいから何故地上波ではTESカウンター表示されないのかよくわからん…。
そして、これね、終わった瞬間見たら、ゆづTESだけで100点超えてるwwwww
TESカウンター、バグった?レベルだよこれwww
さすがTESの鬼だと言われてるだけある。正真正銘の怪人でした、この人。
なんていうかな、GPFのファントムはいい意味で無理に気迫だった感じが全くなかった。
全体的にすっごいやわらかかったんだよなあ。
今まであの中国杯の死に物狂いのファントムこそが気迫があって目つきも鋭くて本物なんだ!って思ってたんだけど
今回のGPFのファントムを見て、ああこれが正解なんだってすんなり思ったんだ。この人が見せたかったファントムはこれなんだ。って。
あとね、確かに最後らへんは足がしんどそうだったけど、スピードは最後まであったよね。そこにすっごく感動した。スケーティングが上手になったことで、無駄な体力を使うことがなくなったんだね。だから最後までスピードがあるし、終わった後もリンクの上に倒れこんだりしない。
本当に、成長したなあ。
オーサーの元に言って、いつもはいい演技したときリンクサイドに上がってからオーサーとハグするのに、オーサーもゆづも早く喜びのハグをしたかったからなのか、ゆづがリンクサイドに上がる前にハグしてるよ。
オーサーに力強く抱き締めてもらって、褒めてもらって、とってもとっても嬉しそうなゆづ。
キスクラでも勿論ニコニコ笑顔なゆづるさん。
ああ、やっぱりキスクラで笑顔なあなたはいいね。
SPもFSもキスクラで「オーラ!グラシアス!*9」って手を振りながら言うゆづる死ぬほど可愛い…。
そう言えば、地上波放送のリプレイのとき解説者が最後の転倒した3Lzをこう言ってた。
「3Lzは、もう転倒していいんです。次のステップのために、これでいいんです。僕はそう信じたい。」
「この転倒がもっともっと羽生を強くなりたいとそう思わせる力になっていくんですね」
うん、稔。この意見には私も大賛成だ!
私も3Lzを転倒したことで、彼はもっといい演技をしたいと思うし、まだまだ努力することをやめないと思う。
そして今度は最高の演技を見せてくれたら、それでいい。
点数、194.08点!!!
彼のシーズンベストより今シーズンの世界最高得点より、彼のパーソナルベストだってことが何より感動!!!
これ、3Lz転倒してなかったら確実200点超えてたw信じられない、もう人間じゃないww
すごいや。もう凄いしか言えない。こんなの。感動を通り越した。
GPFではSPでもFSでも点数出た時にキスクラでゆづが自分からオーサーにハグしに行くんだよなあ。中々珍しくて、それだけ嬉しいってことだよね。
両手を上にあげて「やったー!!!」って。
ここまで喜びの気持ちを全面に出しまくってるゆづほんとに初めて見た。
そんなゆづをまさか五輪終わった次のシーズンに見れると、思わなかったよ。
この神演技。勿論海外の解説者達も大絶賛してて、日本の解説以上に(←)いいこと言ってくれてるんで紹介しておく。
(ロシア解説)
演技中ずっと黙ったまま見入ってて、途中で一言、
「私たちは今、とてつもないものを目撃者しています」
終わった後、
「一番信じがたいのはこの少年がグランプリファイナルに進出できたのはまさに奇跡的だったということ。最後の切符をギリギリつかみ取りました。そして見てください、彼がこのファイナルで成し遂げたことを。」
「彼は他の選手より頭一つ飛び抜けていましたね。」
(英・ユロスポ解説)
演技前に
「彼は目に映る夢です」
演技後
「羽生に対して最高級の形容詞が足りないぐらいですね。でも一つ思い浮かびました。魂を揺さぶる演技、感動的です。」
「素晴らしい。なんという復活劇だ。」
「今シーズンのベストスケーターとか、同世代のベストスケーターとかいう話ではない。彼は恐らく史上最高のスケーターである。」
基本的に辛口で有名なユロスポさんがここまでベタ褒めしてくれてるなんて( ; ; )
(スペイン解説)
後半の方の翻訳はまだ上がってませんが、とりあえず「美しい!」と「素晴らしい!」を何度も言ってて嬉しい〜。
後半の演技の3Aのコンボ二連続でもうなんか凄すぎて笑けてきてる解説者がかなり面白かった(笑)ここまで凄かったらもう驚き通り越して笑っちゃうよね。
GPF開催国で、そんなスペインの英雄ハビがゆづを置いて現在一位に立ってるので、もちろんハビに勝ってほしいと思うのが当たり前なはずなのに、最終滑走者で素晴らしい演技を見せたゆづに最高級の賛辞をくれる。コメントがとっても温かい。
(イタリア解説)
演技終了後、
「惑星ハニュウにようこそ!住人は彼ひとり」
ここ最高に笑ったwww
スケヲタの中では散々今まで「人間じゃない」とか「TESの鬼」とか「宇宙人」とか言われてきたんだけど、ついに海外の解説者にも宇宙人認定されたw
「途方もないパフォーマンスだった。めったにお目にかかれないほど質の高い2本の4回転ジャンプ。最初から最後までエネルギッシュに力強く滑り切った渾身のプログラム、豊かな繋ぎ、これ以上ないほど質の素晴らしい多くのトリプルジャンプ。後半のトリプルアクセルも見事だった。」
「そして今、皆が訊きたいだろう、この選手は一体どこまで行くんだろうって。だって彼が頭に描いている今日のとは異なるフリープログラムを滑る切ることが出来たら、正直TES110点を余裕で超えるだろう。他の選手はTES90点に達するのも大変なことを考えると想像を絶することだよね。今大会TES90点に達した選手は何人いる?事実を言えば今大会90点台は誰もいない(笑)羽生だけが100点を超えた。信じられないことだよ。まさに歴史的瞬間だった。このような演技を再び見れることを願っているよ。」
ベタ褒め中のベタ褒めすぎて言葉が出ない…。ここまで言っていただいて本当に誇らしいです。ありがとう。
(イタリア別解説)
マンマ*10解説きたー!!!
演技後の「マンマミーア!!!」健在wwマンマ最高www
マンマの解説聞いたことない人はニコ動で2014年世界選手権のイタリア解説のゆづのFSを聞いてみて(笑)もう演技後の「マンマミーア!ファンタスティコ!」が面白すぎて笑い死ぬからwww
マンマ相変わらずユヅルに萌え萌えしすぎwゆづのこと好きすぎるw最高w
「マンマミーア、ファンタスティコという言葉をユヅルに対してもう一再び使わずにいられるでしょうか!!観客は熱狂しています!素晴らしいスケーターというだけでなく人間としても素晴らしい!!」
「プログラムが終わる前に僕は彼のことを太陽系の他の惑星からやって来たスケーターと紹介したかったよ。本当にただ唖然とさせられるスケーター」
また海外の解説者に宇宙人認定されてる羽生さん…(笑)
「要素のクオリティーに目を見張らされる。見て、軽々と遠くまで跳んでいく、そして軽やかで流れのある着氷。このジャンプ要素、踏切にも空中での回転にも全く力を使っていないように見える。まるで彼はブレードで氷と戯れているようにさえ見える。」
得点が出た瞬間、
「出ました!194.08点!ユヅルの喜びを見て下さい!偉大なユヅル、あなたはファンタスティコよ!素晴らしい技巧!これはこのファイナルを締めくくるに最も美しいシーンです!なぜならユヅルは根性を、そしてこのスポーツに対する情熱を見せつけてくれました。!!そしてそれに相応しい結果を獲得したのです。」
「本当にいつも言葉を失ってしまう。だって何というか、もう別の試合のようだった。結局のところ彼は自分自身と戦っていたんだね。」
マンマの興奮のしようが凄くて、もう一人の男性解説者も素敵なことを言ってくれていて感無量。
(中国解説)
中国解説は毎回選手の演技中は解説をオフにして全く話さないので、ほぼ会場音みたいな感じでw、カメラ音や観客の歓声が他の動画よりもよく聞こえてくるので、現場の雰囲気がよくわかって、そこもまた楽しめるよね!
演技後、
「彼は全てにおいてズバ抜けています。」
「羽生選手はどの難しい技も簡単に楽にこなせてしまいます。あたかも、この位置にいるならこの振り付けや技が当然のように見えますね。彼は最後に登場した選手として、全選手の中で最も完璧で、美しい演技を私たちに見せてくれたのです。」
中国で本当に大人気な羽生さん、べた褒めです。
相変わらず専門的で良い解説ー!
以上です。
結果的に二位に30点以上の差をつけて優勝。
この勝ち方やゆづるの強さはなんていうか本当に圧倒的で、イタリアの解説者さんが言ってた通り、彼は誰とも戦ってないんだなって感じだった。
ライバルは自分。いい演技したとき敵なんかほんと一人もいなくて、後は過去の自分の点数を抜かせるかどうか。
そして今回パーソナルベストを更新した。過去の自分にさえ勝ったんだ。
彼の何が一番凄いって、SPで94点も出るなんておかしい、転倒したのに一位はおかしいと何の根拠もなく批判してた人、そしてそれだけじゃなく何も知らないのに彼の思いなんか無視して中国杯出るべきじゃなかった、GPFは大事をとって休んだ方がいいと言い放った沢山の人、そんな人たちを彼は自らの演技で、自らの武器のスケートで、見事に黙らせたことだ。
全ての批判を彼は知っていただろう。しかし彼は何も言わなかった。何も言わずにGPFで勝つために努力し続けた。
そしてGPFで最高の演技をしたのだ。
こんな圧倒的な演技をされたらもう誰も文句言えない。
彼は全員が認めたGPF優勝者だったし、彼がGPFに出て良かったんだってみんなが思ったんだ。
こんなかっこいい人、いないよ。
私はNHK杯の時、「彼は漫画の主人公じゃない。何かを勘違いしてた。これが現実」と言ったけど、
やっぱりこんな復活劇を見せる彼は漫画の主人公か何かなのかもwって思ってしまった。
NHK杯で物語は終わってなかったんだ。あれはまだゆづの伝説の続きでしかなかったんだ。そしてGPFも完結じゃない。まだまだ彼の物語は続いていく。
何が恐ろしいってこのパーソナルベストを出した点数はゆづの本来思い描いてた構成ではまだないということですよw
本当はSPで4Tは後半に持っていく構成だったし、FSではもう一つ4Tを後半に入れる構成だ。しかもその4Tはコンビネーション。
そんな鬼畜構成だったが怪我のため自分の体に無理をさせないように構成を昨シーズンに戻した。
この本物の構成を滑り切ったら一体何点になるんだろう。
SP・FS合わせて300点は余裕で超えて310点とかいっちゃうんだろうね。
いつか、その300の点数を見れる時が来るのかな。
ああ、ワクワクするね、ワクワクする。
この人を見てるといつもワクワクする。
この人にいつも夢を見させてもらってる。
ユロスポ解説者が言ってた通り、彼は「目に映る夢」だ。
FS演技後のゆづのコメント。
「連覇という気持ちよりも、やっと自分らしいスケートが出来たかなと思います。」
「いやもう今回二連覇と言われた時に、ああ連覇だったのかって思うぐらい本当に連覇なんか意識してなかったので。いや…、今日は滑れて本当に幸せでした。ただそれだけですね。もうチャレンジャーとか追う立場とかそういうものではなくて、まずスケートがここまで出来る、または本気で追い込める、体を駆使できる、それ自体が僕にとって今の最高の幸せです。」
そっか。
そっか、そっか。
二連覇したことよりも優勝したことよりも滑れたことが一番の幸せなんだ。
本当に楽しんで滑って結果がこれなんだ。
私はSPの後・FSの前の時、SPでスケートすることに楽しみすぎて戦うってことを忘れてるんじゃないかって不安になってた。自爆したらどうしようって、不安に思ってた。
でも、私が、間違えてたんだ。
スケートそのものを楽しめた結果がこれなんだ。スケートを楽しめるからこそ、いい演技も自ずと出来るもんなんだ。
それをゆづの演技を見て、ゆづの晴れやかな笑顔を見て、教えてもらったよ。
NHK杯終わった後のゆづのコメントを見て、私は確かにこうなった彼は強いぞと言った。
公式練習の初日後、「僕自身もここまで追い込んできた成果がどれだけ出るかっていうのをすごく楽しみにしてここに来た」というコメントを聞いて、私もワクワクしてた。
NHK杯から明らかに彼は変わっていたし、自信を取り戻したかのように見えた。
だけど、まさかここまでの演技を出来るほど回復してたなんて誰も思ってなかったよ。
”回復”じゃないな。彼は以前の自分に戻ったんじゃない、以前の自分以上に成長したんだ。
私たちの予想を遥か上回ったゆづ。
誰もここまでの圧倒的勝利を想像なんてしてなかった。
本当に強い強い男だと思いました。
GPFの公式練習から言ったら、五日間かな。本当に沢山の感動をもらったし、そして楽しそうに滑ってるあなたを、キスクラで嬉しそうなあなたを見れたのが、本当に本当にこれほどまでにないほど幸せでした。
ありがとう。
見事GPFであの時の壁を乗り越えた先に、どんな景色が広がってましたか?
私たちも勿論あなたの演技を見て沢山のことを学んだし、あなた自身も目には見えない大事なものを学んで、手に入れてはずだ。
あなたを信じてこれて、良かった。
壁を乗り越えた先にまた新たな壁があるかもしれないけど、大丈夫。
あなたは絶対また乗り越えてくれるから。
そしてまた強くなる。
これからもあなたをずっと信じています。
最後に、もう一度。
ゆづ!GPF優勝おめでとう!!!
追記。
ハビちゃんも見事銀メダルおめでとう♡(笑)
初めての自国開催。
しかもスペインのスケート選手でGPF出場者は全種目合わせてもハビ一人で、国民の期待をたった一人で、一身に背負ってたハビちゃん。
ゆづも勿論、国民の期待を背負いながら日々やってきてるし、自国開催で演技したことだって何度も何度もある。
けれど、日本で今はフィギュアスケーターの中でゆづが一番人気なのは確かだけど、日本選手で強い人は沢山いて。
男子だけでも、まっちー・むらくん・こづ・昌磨くん、あとは今は引退しちゃったけど勿論、大ちゃんや殿。そんな他にも人気で強い選手が沢山いるからまだマシだと思うの。それに女子も強いしね。
でもスペインではほんとにハビだけ。
ハビだけに国民の全ての期待が掛かってて、そのプレッシャーはどれほどまでか。
公式練習の時も、現地観戦の人のレポを見る限り、ゆづはリラックスして楽しそうにしてたから安心してたんだけど、みんなが口を揃えて「ハビが元気なさそうだった」と言っていて本当にゆづるさん以上に心配でした。
SPの6練の時のハビの表情が本当に固くって!
そしてハビの歓声が勿論ダントツにデカくて、いつもダントツで歓声があるゆづへの歓声があたり目立たないぐらいハビへの歓声が凄くって、あまりの凄さに驚いた。
これやばいなあ。ゆづはプレッシャーなんかもう慣れっこだしプレッシャーかかればかかるほど燃えるタイプなんだけど、ハビはいつもいい意味でお気楽な人だからプレッシャーに押しつぶされるかも…ってヒヤヒヤしてたら、案の定SPでミスりまくりで、ハビちゃん本当にションボリしてて見るのも辛かった。まさかの五位発進で、ああハビィ( ; ; )と。
次の日のFS。
確かに完璧ではなかったけどあんな状態の中で本当によく持ち直したね!頑張ったね!よかったよ!
見事ゆづるに続いて二位に入って、本当に本当に嬉しかった!
表彰式前にハグするハビゆづ、たまらん可愛さ…!
表彰式で優勝したのは自分だけど、スペイン開催なのでハビの名前がコールされた時、表彰台の上で「みんなもっともっと盛り上がって!」って客を煽るゆづ。あなた本当に出来た子だね。
そんなゆづを嬉しそうに見るハビちゃん。
ハビちゃんは本当にいつもゆづを見てるとき表情が優しいし、笑ってる。
表彰式、ハビゆづのなごなごしまくってて最高でしたわ…!!!
教え子二人がワンツーフィニッシュでオーサーパパも大喜びだね!
なんと次の日のエキシでも、ハビの番でゆづがスペイン語でハビを紹介、ゆづの番ではハビがゆづを紹介、と
とにかくスペインのスケ連さんのハビゆづ推しが酷くってな!どうもありがとう!!!
(この人たちって何かある度にハグしなきゃ気が済まないのかな…)
プレカン*11でもなごなごしてるからもう本当意味わかんない…。
後、どうしても言いたかったのが、スペインのお客さんが本当に素晴らしかった!
スペインではフィギュアスケートはマイナーなので、お客さんあんまり入ってないのかなって思ってたけどまさかの満員!
もちろんハビへの歓声が一番凄かったのは確かだが、他の選手にも盛大な拍手や歓声があって、選手がジャンプで転けたら拍手で励まし、いい演技をしたら最高の歓声をあげる。
ゆづのFSの演技、本当に歓声が大きくて、だってゆづが悪い演技したら現時点一位のハビが優勝なんだから、スペインの観客としてはハビに勝ってほしいはずじゃない。
だけど、ゆづの演技が終わった時とてつもなく大きな歓声とよどみない拍手が鳴り響き、本当に素晴らしいと思いました。
本当にスペインって初開催なの?って疑いたくなるくらい観客みんなのマナーが素晴らしかったです。また、スペインでやれるといいな。やってほしいなあ。
ゆづもFSの後のコメントで「嬉しかったし背中を押された」と言っていたし、私としても本当に有難かったです。
スペインのお客さん、本当にありがとう!オーラ、グラシアス!
GPF優勝おめでとう!!(前半)
ゆづる、GPF優勝おめでとう!!!
GPF二連覇おめでとう!!!!
ほんとはGPFは何も言うことがない素晴らしい試合だったから記事挙げる必要はないなって思ってたんだけどw
NHK杯のFSの次の日、ゆづはこう言った。
「GPFのチケットをギリギリ掴ませていただいたチャレンジャーとして、出場する日本人選手最下位として、思い切って上目指していきます。」
NHK杯が終わりゆづだけを日本に置いてカナダに帰るオーサーはメディアにこう言った。
「彼に二週間分の詳細の練習スケジュールを渡したよ。かなりハードな内容だから、これを見たら彼は嫌がるだろうが、やってくれるだろう。これさえやれば彼はGPFで戦える」
私はオーサーがどんなハードなスケジュールをゆづに渡したかわからない。ゆづがGPFまでの二週間弱どれだけ自分を追い込んだのかもわからない。
だけど私はこのオーサーの力強い言葉だけをただ信じた。
GPF開幕の三日前、ゆづは日本を出発した。
二週間ぶりに見るゆづ。
日本を出発する前に彼はメディアにこう言い放った。
「本当に、本当に本当に本当に練習してきました。」
元からめちゃくちゃ練習するタイプの彼が「本当に」を何度も繰り返して「練習してきた」と言う。
その練習量がどれだけのものか考えただけでゾッとするけどw
バルセロナの彼はとにかくリラックスしていた。
現地に観戦してる人の公式練習の動画やレポを見たり、WSでの映像を見る度に思ったが、変に自分を押さえ付けてる感じもなく、公式練習でも他の選手と話して笑顔を見せたりして、集中しなきゃいけない時はしっかり集中できてる顔で。
そして、全体的に調子がとても良かった。
苦戦してた3Lz-3Tも助走を飛びやすいように変えたと語ってて、結構確率も良かったし、4Tもほぼ決めていた。
SP当日の公式練習ではSP曲かけでジャンプパーフェクト。
大丈夫だ、大丈夫。と思いながらも、不安は自分の中でどうしても拭い切れなかった。
男子のSPはこっちでは朝の五時からだからテレビでリアルタイムでやってくれる訳なんか勿論なく、ライストで見るしかなかった。
正直、朝五時に起きてリアルタイムで見ること自体をやめようかと少し悩んだ。朝起きて先に結果だけ知ろうかな、とか、そんなふざけたこと考えてた。
その日は夜中の二時ごろまでライストでジュニアの女子シングルと男子シングル見て、寝たんだっけな。
一応五時に目覚ましはかけて。起きたら見ようと思いながら。
朝、五時ぴったりに目が覚めた。
三時間しか寝てないのに、起きたとき驚くほどスッキリしてた。
ああ、これは見ろって事なんだと。
六分間練習。ライストだから色んな選手を交互に映すので、ゆづが何を跳んだかとか、どれだけ調子が良いとか全然わからなかったけど。
第一滑走。
今シーズンから名前をコールされてから30秒以内に演技位置につかないといけないルールに変更されたが、第一滑走のみ一分間使えるのだ。
ゆづは昨シーズンまで一分間ルールのとき、一分間ギリギリまで時間を使って定位置についてたので、久しぶりに一分間使っていいんだよ、と。
ほら、ゆづるさんはおまじないが沢山あるから、それを久しぶりにゆっくりやりな、って。
SP、ショパンバラード一番が始まる。
ああ、バラ1ほんとに綺麗で大大大好きなんだけど、リアルタイムで見るのはやっぱ怖いな(笑)
ピアノ曲は無駄な音がないし、ピアノと周りのカメラを切るシャッター音しか聞こえなくて、ほんとにパリ散のときの百倍緊張する。
ここからちょっと専門的になりやす。
まずは、4T。
降りた!ふわっと降りた!ああ、降りた!今シーズン初めて試合で4Tを降りたことでもう泣きそう…。しかも、いつも通りの加点沢山もらえそうな4T。
フィギュアでは、ジャンプそのものの技術点があり、そこからそのジャンプの出来栄えによってその技術点から加点されたり、減点されたりします。
これをジャンプの出来栄え点GOEと言い、−3〜+3まで加点されます。
着氷が乱れたり回転が足りなかったりステップアウト、両足着氷などをしたらGOEがマイナスになってしまう。
中でも回転不足(UR)は、そのジャンプの基礎点の70%しか貰えない上に、GOEでマイナスがつく。
だから、回り切って転倒するより、回転不足で着氷するほうが痛いよって事です。
ゆづは見ての通り、ジャンプが決まれば世界一綺麗なのでこのGOEで二点以上出る人です。
GOEで2点から3点出る人ってそうそういません。
この4TはGOE2点を貰ってて、つまり4Tの基礎点10.3点+2点で12.3点。
この4Tの何が凄いって、簡単に言うと着氷した後、着氷した方の足だけで滑り続けるんだよ。
この4Tからフリーレッグでピボットの流れが本当に凄すぎて、これちょっと本当に信じられない(笑)
これ見てたフィギュアファン全員目から鱗だから(笑)こんなの普通できないの、普通ね。
ゆづみたいな人はジャンプまでの助走も短いし、そのジャンプの前後の動きが素晴らしく難しい動きしてるのね。
前半は4Tのみなので、その後二つのスピン。
スピンも、沢山種類があってそれを組み合わせて、スピンそのものの基礎点の上に、レベルってのがあってレベル1〜4まであります。
スピンは最低限一つのポジションで回る回数、スピンを組み合わせる数などきちんと決まってて、回転数が全て足りてて、軸の曲がりなどがなかったらレベル4貰えます。
ゆづはジャンプ以外にスピンもとっても得意で、柔らかい体を使ってとても繊細なスピンが出来るので元のスピンの基礎点が高い上、取りこぼしもなくレベル4。
演技は後半に。
後半はジャンプの基礎点が自動的に1.1倍になります。
得意のカウンターからの3Aからのイーグルでインエッジでチェンジ。
これもただ3Aを跳ぶだけじゃなくて、カウンターという難しい技をしてからそのまま3Aを跳び、そしてすぐさまイーグルという技をしてます。
GOEは2.43点。
つまり3Aの基礎点8.5点×後半に跳んだので1.1倍=9.35点+GOE2.43点=11.73点。
ね。加点のオンパレードでしょ(笑)
この人は元の調子になると他の人よりジャンプをが簡単に跳べちゃうので、ワザと難しい入り方や技をします。ほら、ジャッジよ。俺に加点をつけろよ。アピールですww
そして最後のジャンプ3Lz-3T。
転けた!!!!!転けちゃった!w
夜中の五時に思わず変な声でたw
でもこれって3Lz-3T転けた。残念( ; ; )って感じじゃなく、3Lzの時点でめちゃくちゃ軸が前に傾いてたのに、よくこのあと3Tつけたな!って感じw
しかも完璧に回転が足りてる上で転倒してるのがこの人の凄い所。
SPのルールとしてジャンプを絶対三つ入れること。そしてその内一つはコンビネーションにすること。コンビネーションのセカンドジャンプは二回転以上。っていうルールがあります。
だから3Lzで軸が傾いてそのあとセカンドの3Tをつけられなかったらそれだけで基礎点も少ない上にだいぶ減点されます。
そんな中でセカンドで3Tを跳んだ、しかも回り切ったのは、完全にこの人の意地(笑)
3Lz-3Tの基礎点10.1点×後半1.1倍=11.11に転倒によってGOE−1.9点=9.21点。
回転足りてることで最低限の減点で収まってます。
そしてステップ。
ステップもスピンと同じようにレベル1〜4まであり、バラ1のステップは超高速激ムズステップなので当たり前にレベル4。
最後の二つのスピン。
両方ともレベル4!素晴らしい!
終わった時のゆづの顔。
ああ、ああ……見たかったゆづの笑顔だ。何よりも見たかったゆづの晴れやかな笑った顔だ。
印象的だったのが3Lz-3Tで転倒してしまって起き上がった時、彼が笑っていたことだ。そしてその後の高速ステップも終始笑顔だった。
高速ステップの後のスピンも普通に見てたら回転が早くて気付かなかったけど、スロー再生やお写真でスピンをしながら笑っていた。
スピンしながら笑ってるゆづなんて今まで一度も見たことなくて、終わった後こんなに笑ってるゆづ見るのは久しぶりで、そのことが何より本当に本当に嬉しくて嬉しくて、涙が出た。
キスクラでも終始ニコニコ笑顔なゆづるさん。
日本の解説者はこう言っていた、
「悔しさも含んだ笑顔ですね」って。
そう言ったが、でも。でも、私は今回のゆづのこの表情に悔しさは一つも感じなかった。
この笑顔は、絶対悔しさなんか含んでいない。彼の心からの笑顔だ。
解説者はこうも言った
「3Lzがね…3Lzだけがね……」
違うだろう。
彼が3Lzコンボを転倒してしまったことより、彼がたった二週間でここまで戻してきたことを何より褒めるべきではないのか。
二週間前のNHK杯では4Tはパンクで3Tの上に転倒。最後の3Lzはセカンドジャンプをつけることさえ出来なかった。
そんな彼がたった二週間で4Tを完璧に着氷し、3Lzのコンボもつけることが出来た。
その凄さに比べたら3Lzのコンボが転倒しただなんて、今回に限ってはそこまで重要視することじゃないと私は思ったけどなあ。
フィギュアはTES(技術点)とPCS(演技構成点)を足したものが点数として出るんだけど、TESはさっき話してたジャンプやスピンの技術そのものの点数で、PCSは簡単に言うとスケーティングスキルや曲をどれだけ解釈して滑ってるかなどのことですね。
演技終了後、TESだけで50点超えてた羽生さんww
点数は94.08点。
転倒したのになんで一位?とか90点台出るのはおかしいって言ってる人がいるけど、最低限のミスで済ましているしスピンステップはオールレベル4だしで、私は出るべき点が出てると思う。
ゆづとオーサーの狙いとしては、これだけ密度の濃い演技をして、ジャンプ前後も難しいステップを組み入れることで、ジャンプを一つぐらい転倒しても90点台出るよっていう作戦なんだろう。
ゆづのやってる技はパッと見ただけではそれが難しいこととはわからない。でもその難しい技を簡単にやってるように見せることが何より凄い事だってことです。
そして、SPを滑り終わった後の彼のコメント。
「今まで自分をセーブしなくてはいけない体のことを考えながら滑らなくてはいけないっていう状況だったので、ほんとにもう今日は久しぶり最後まで非常に楽しく目一杯滑れました」
「幸せでした。滑っていて本当に気持ち良かったです。久しぶりに曲を感じることが出来て、最後も笑って終えることができました!」
そっか。そっかそっか。
滑ってて楽しかったんだ。ただただ滑ることに幸せを感じてたんだ。
だからステップのときあんなに楽しそうに笑ってたんだ。
正直五輪チャンピオンになってから、沢山背負うものが出来て、それでも成長する楽しさとかライバル達と対戦する楽しさとかは勿論感じれるけど、スケートすることそのものに楽しさは感じることは出来なくなるんじゃないのかなって思ってた。
でも、点数どうのこうのじゃなくてただ滑ること自体が楽しかったって。
ゆづのその言葉を聞けて本当に嬉しかった。
結局SP一位で折り返し。
いやあ、でっかい漬物石*1だったなあ(笑)
自分の番が終わったゆづるさんがチラチラ地上波では映ってたんだけど、緊張から解きほぐされたみたいなとりあえずホッとしたみたいでずっと穏やかな表情してました。
SPの動画置いときまーす。
さっき言った4T着氷後のフリーレッグとか、カウンターからの3Aからのイーグルでインエッジとか、もし良ければそこに注目して見てみてくださいー!
思ったよりクソみたいに長くなったので、FSと分けますw
FSの記事まだ全く書いてないから挙げるのいつになるかわからない…。
*1:スケート界では第一滑走の人の点数を後に滑った人達が抜かせず終わることを漬物石と言います
どうか今だけは、いい夢を。
嵐のことはさ、ツイッターにいくらでも書けるんだよ。
番組の感想も、コンサートのレポも。
でもあなたの事は迂闊にツイッターに書けない。
だからブログに書くしかないけど、それでも書いては消し書いては消しの繰り返し。しまいには書きながら涙が出る。
それでも、それでも、応援したい。
嵐のライブが京セラドームで11月27日から30日にありました。
フィギュアスケートは観戦しに行かないいって勝手に決めてる。
正直、嵐もフィギュアも現地で見るのには学生の私にはあまりにもお金がかかりすぎるから。
イベントやライブに行くのは嵐だけにしよう。
その変わりケーブルテレビを繋げよう。フィギュアのアイスショーや全試合、テレビ観戦は出来るようにしよう。
これが私の追いかけ方だった。
フィギュアも応援しようとなった時に勝手に決めた私の定義だった。
その週に入ってから世間はゆづの話題で持ちっきりだった。NHK杯に出るのか?とか出場と決まれば前日公式練習はどのようなものだったか?とか。毎日毎日ありとあらゆるニュースを全部張って、夜な夜な編集して、正直、しんどいなこれって思ってた。
でも、何よりもNHK杯にゆづが出てくれることが嬉しかった。
本当に本当に嬉しかった。
28日がSPの日だった。
その日私は嵐のライブだった。
誰にも言ってない、誰にも言ってないけどさ、嵐の開演前に「ゆづがうまくいきますよーに!」って心の中でずっと願ってたんだ。
今回はテレビ観戦も出来ないけど、気持ちだけ届けばいいって。それが私の追いかけ方だったから。
嵐のライブ中は一度もゆづのことを思い出したりしなかった。あの時間は夢のようなものだから。現実の嫌なこと、気掛かりな事をライブ中に思い出したことはない。
ライブが終わって、超浮かれてて、あ〜幸せだな〜とか思って、規制退場まで時間があるからツイッター開いてレポをポチポチ打ってるときに、今ゆづのSPの結果見るべきなのかなって悩んでた。
それが「あ!そういえばゆづどうなったんだ!」って感じじゃなくて「ゆづの結果見るべきかなあ〜」って感じだったの。きっと、それは、ライブ中確かに思い出しはしなかったけど、ゆづのこと忘れてもなかったんだよ。ずっと頭の奥片隅にはあった。だから、ライブ終わったとき必然的にそう思った。
スケートの方のアカウントに行くのは面倒くさいからツイッターで検索をかけてみる「羽生」と。
そこですぐに出てきた。「羽生 五位」
それを見ただけでグッタリしてしまった。五位ってことは何かがよくなかった。何を失敗したんだろう。やっぱり入りにくかった3Lz-3Tかな。いや、4Tかもな。まさか、3Aがミスるわけない。
すぐさま繰り広げられる思考。
ああ、見るんじゃなかった。
ああ、二つのものを追いかけるってこんなにもしんどい。
そう痛感した。
家帰ってNHK杯を見るか本当に悩んだ。
嵐でこんなに幸せな気持ちなのに、今フィギュア見たら気分絶対落ちるよな。どうしよう。どうしよう。
結局、すぐには見れなくてなんか頭にも入らないくせに無理に勉強したりして(月曜テストだからw)、フィギュアを見れたのはド深夜。
この目にゆづの演技を焼き付けて、しっかりと受け止めた。
大丈夫。一位とは八点差だ。こんなの十分射程圏内。まだ、ファイナルの道が閉ざされたわけじゃない、大丈夫だ。明日のFSでがんばろうね。
この言葉はゆづに言ったのと半分、自分にも言い聞かせてた気がする。
4Sも4Tも決めてガッツポーズするゆづをイメージして、そう思い描いて、寝た。
次の日のFS、私が思い描いてたゆづはいなかった。
4Sが2Sになって、4Tが3Tの上、転倒。
目をつぶりたかった。
苦しい。好きな人が負ける姿を見るのはこんなにも、苦しい。
でも、不思議とね、悔しくはなかったんだよ。
FSを見て、最初に浮かんだ感情が「次頑張ろう」でも「悔しいね」でもなく、「ありがとう」って気持ちだった。
NHK杯に出てくれて、ありがとう。
帰国後、初めて氷に乗ったのが20日頃。リンクを濡らしたのは、充実の汗ではなく、悔し涙だった。ジャンプを跳べる状態には程遠く、泣きながら滑り、欠場の可能性を周囲に訴えた。「出られないかもしれない」
ゆづがNHK杯出場決定したときの記事。
一週間前はこんな状態だったんだよ。
なのに、私たちファンに演技を見せたい、ファイナルに行きたい、その思いの為だけに、絶えて絶えて、あなたは氷上にこんなにも早く戻ってきてくれた。戻ってきてくれただけじゃなく、四回転ジャンプが跳べるまで頑張ってくれた。
今、この場にあなたがいること、そして最後まで滑り切ってくれたこと、それだけで本当に嬉しいんだよ。
ありがとう。本当にありがとう。
あなたは月曜日のおは日のインタビューでこう言った、
「(FSの)演技後、更衣室で泣いてました、悔しくて。悔しくて、悔しくて、仕方なくて。もうどうしようもなかった。何をどうしようと考えながらひたすら涙が出てました。」
うん、知ってたよ。
そんなこと、多分見てた人みんな知ってた。
だって、私たちの前では一度もその涙をこぼすことはなかったけど、ずっと我慢してたじゃない。
キスクラでのインタビューでもずっと目が赤かったじゃない。
でもあなたは、不意に涙がこぼれそうな時に、そのまま泣くんじゃなくて、グッと堪えて、泣く変わりに、笑う人だから。
笑うのが辛くても、見てくれてる人、応援してくれてる人のために微笑む人だから。
自分が満足いく演技が出来れば涙を見せるけど、満足いく演技が出来なかった人は、涙なんて見せる資格もないってきっと思ってるような人だから。
泣くほど痛くても、氷の上に戻ってくる人だから。
「これは怪我のせいなんかじゃない」「いい演技を見せることができなくて申し訳ない」って言い訳一つせず観客に謝る人だから。
あなたの血の滲むような努力をみんな知ってるし、わかってる。
謝らなくてもいいんだよ。
みんなの前で涙流したっていいんだよ。
私たちファンもきっと何かを勘違いしてた。
今まで奇跡を起こしてきたゆづだったから。
震災後の12年ワールド。SP七位で出遅れてからFSでまさかの三位。初出場で台乗り。当時17歳だったゆづがいきなり世界のトップ選手として躍り出た。
ソチ五輪日本3枠獲得に向けて望んだ13年ワールド。全日本チャンピオンとして望んだゆづだったが、体調不良の上、足首を痛めてしまい状態は最悪。SPはまさかの九位。しかし次の日のFSで渾身の演技を見せ、四位に食い込み無事3枠獲得。
五輪チャンピオンとして望んだ14年ワールド。今シーズン世界最高記録を叩き出しまくってたSPパリの散歩道でまさかのミス。三位発信。しかし、底力を見せFSノーミスで大逆転優勝。
そして、初のSP100点超えをしたソチ五輪。確かにFSではミスがあって一度は金メダルを誰もが諦めたが、最大のライバルも同じだけミスをしてくれまさかの日本人男子初の金メダル。
何かアクシデントがあっても奇跡を起こすような男だったから。
ほんとに漫画やドラマのような勝ち方をする男だったから。
私たちはいつの間にか何かを勘違いして、何か彼に多大な期待を背負わせて、今回も奇跡が起こるんじゃないかと思ってしまっていた。
彼が、傷ついてないわけないのに。
ここに戻るまで彼がどれほどの努力を積み重ねてたのかも忘れて。
これは漫画の世界じゃなくて、現実の世界で。これが現実なんだ。
彼は漫画の主人公じゃなくて、ただの19歳の少年。
そういうことにやっと気付いた。
ただ、FSの演技が終わった時に確かに全員が感じた違和感。
いや、本当はずっと違和感を感じてはいた。それを見てないフリをしていただけで。
大会二日前の非公式練習で、驚くほど綺麗に四回転ジャンプや三回転ジャンプを決めまくってた彼。時折、オーサーと談笑して。いつも通りの彼に、その時ひどく安心した。
彼は完璧に復活していると思った。
でも考えてみれば、あの事件からたったの三週間しか経ってない。
しかもその間、世間はゆづのあの事件に静寂を保っていたかと言えばそうじゃない。
強行出場だと言われ、あれは出てよかったのか?と沢山のワイドショーで議論されて、時にはスケ連やコーチを批判する人がいて。
それをゆづは日本で、ずっと、見てた。
きっと、ずっとずっと見てた。
そんなもん、傷ついてないわけがない。
事故のこと完璧忘れられてるわけ、ないんだよ。
SPのショパンバラード一番は、最初音楽が鳴っても10秒ほど止まったまま前だけを向いてるっていう振りだ。その時の目がどうしようもなく泳いでいた。目をつぶるわけでもなく、前を向くことも出来ず、少し俯き加減で目が泳いでいた。
逆転に燃えていたFS。いつも逆転がかかってるFSはもっと人殺しそうなほど目がギラついて、瞳の奥に炎がメラメラ燃えてるのを隠そうともしないのに、何かが違った。演技前のリンクに入る時、迷いだらけだった。
ファントムが始まった最初の目つきの鋭さは中国杯とほぼ一緒だった。
いつもと違うところなんて沢山あった。
違和感を感じていたのに、見て見ぬ振りをしてた、ゆづも、私たちも。
そしてFSが終わった時にあの違和感が本物だったことに気付いた。
これは、この違和感は、技術的なもののせいではない。
ゆづも言っていたけど、練習でも六分間練習でも四回転を跳べているのだ。
技術的なもののせいではない。
その時にやっと違和感の正体に気付いた。
違和感は感じていたのに違和感の正体はFSが終わるまでわからなかった。
きっと、本人もFSの演技が終わるまで気付いてなかったんだと思う。
自分が思っていたよりも傷ついていることに。
どうしようもなく心が弱くなっていることに。
正直に言うと、ここまで弱りに弱ってるゆづは初めて見た。
公式練習の時も何度も他の選手と接触しそうになって、過剰に避けてるゆづを見た。
事故前まではスレスレのところで選手同士がすれ違うことはよくあったのに、今回のゆづは他の選手が少し近づいただけで過剰に、ほんとに過剰に、避けていた。
あの事件のことがやっぱりトラウマになっている。
そういう心の弱りや、あの事件のトラウマなどが重なって、本来のペースを取り戻せなかった結果があれだ。
その結果が今回の試合の結果に繋がってしまった。
ゆづはFSの演技後、インタビューでミスの原因は技術的なもの?精神的なもの?と聞かれて「精神的な部分が強いんじゃないんですかね。」とすぐに言った。「精神状態をコントロールする力が足りなかった」と言っていた。
NHK独占インタビューではこう言っている、「FSの六分間練習のとき、あれだけは怖かった。あのぶつかった瞬間を思い出してしまった。誰もいないのに、ずっと後ろの方向ばかり気になってて、ちゃんと踏み切ってるのにうわの空。」
私たちが気付いたと共に、彼も全ての原因に、自分の心が弱くなってることに、気付いていたのは本当によかった。
彼は昔から自分のことを客観的に冷静に見ることが出来る人だ。
そんな頭の良い人だったのが、幸いだった。
そして、あのFSから一夜明けて30日、彼が選手のトークショーでNHK杯はどういったものかと聞かれてこう言った、
「このような状態でも最後まで滑り切ることが出来て、またファイナルを決めることができてよかったって思っています。」
ほらね。
やっぱりあなたはわかってる。
昨日のキスクラインタビューでは「いい演技を見せることができなくて申し訳ない」と言っていて、それは違うよって思っていたけど、次の日には、そんなこと一切言わず前向きに感謝の気持ちを口にした。
NHK杯に出場し、最後まで滑り切れたこと、それがまずよかったんだよ。
一夜明けてそう思えてくれて、よかった。
FSから一夜明けた彼は、昨日とは人が変わったようなコメントばかりを残した。
報道陣へのコメント。
「今の弱くなってる自分は嫌い。でも弱いということは強くなる可能性がある」
「これだけ沢山乗り越える壁を作っていただいてこんな楽しいことない。しっかりその壁を打ち砕かないで乗り越えていきたい」
「乗り越えた先にある景色は絶対にいいと信じてるからこそ楽しんでいける」
「五輪チャンピオンとか、世界選手権チャンピオンとか、ファイナル二連覇とかもうそういうのじゃない。チャレンジャーとして、ファイナルの最後の最後の一枚の切符をギリギリ掴んだチャレンジャーとして頑張りたい」
「出場する日本人最下位として、思い切って一番上狙って行きます」
「逆境は嫌いじゃない」
なんだよ。もうこんなにも前を向いているじゃん。
まるで昨日までの自分を全て捨てて、リセットしたみたいに。或いは、何か大事なものを取り戻したみたいに。
これらの強気かつ前向きな発言を聞いたとき、ああ、もう大丈夫だと確信した。
彼は五輪チャンピオンとか世界選手権チャンピオンとか世界ランキング一位とかそういった肩書きをここで全て捨てた。
なくなったんじゃなくて、自ら捨てた。
この「日本人選手最下位として」って言った後、ゆづったらフッて笑うの。
その後に「思い切って一番上を狙って行く」
「チャレンジャー」か。
なんて、なんてワクワクする言葉なんだろう。
そうだった。彼は逆境に強い男だった。
昔から周りに無理だと言われても、自分は絶対勝てると信じて、自分より上にいる選手にぶち当たっていく、そして最後には本当に勝っちゃう人だった。
久しぶりにボロ負けして、全てを捨てて、チャレンジャーになった彼は、きっと、強い。
だから、もう大丈夫だ。
だって下がるところまで下がれば、後は上がるしかないんだから。
今回のNHK杯を一言で表すと?と聞かれて、私は「苦しい試合だった」とか「悔しかった」とかそう言うと思ってた。
でも彼が言ったのが「次のステップにあがるための”踏み台”」
驚いた。もう私たちよりも先に、私たちが励ます前に、彼は切り替えて前を向いてる。
そうだそうだ!この悔しさを踏み台にしてまた這い上がろう!
ギラギラした目をしてるゆづ、なんだか久しぶりに見た。その目が、どうしようもなく、好きだった。
ああ、これだからあなたを応援するのはやめられない!
どれだけ凹んでもどれだけ見るのが辛くても、その先の彼のキラキラした笑顔を想像しちゃうから。
彼がその壁を乗り越えた先の景色を一緒に見たいな、とか思っちゃうから。
そしてその日のエキシビション「花は咲く」
吐くほど泣いちゃった(笑)
多分今だったらNHK杯のホームページにあると思うから見てみてね(宣伝しとくw)
すごいね。
例えば今までゆづがノーミスの演技をしたからとか渾身の演技をしたからで泣いたことはあったけど、あんな滑ってるだけで涙が出たのは初めてだった。
リンクをいっぱいに使って優雅に舞う姿は本当に美しくて、思いがこれほどまでに伝わってきて、大粒の涙がこぼれた。
解説のあっこちゃんも泣いていた。
会場にいた人によると周りもみんな泣いていたと、そしてテレビ観戦だった私も泣いた。
素晴らしかった。本当に。
花は咲くを見て、やっぱりもう大丈夫だと確信したよ。
あなたの19歳最後の演技が「花は咲く」で良かった。
この3日間、フィギュアごとだけで言うと苦しくて辛いものだった。
今まで背中も見せなかったゆづの背中が見えてしまい、ゆづの弱さを感じてしまい、どうしたらいいかわからなかった。
だけど、彼はその悔しさを糧にまた成長した。
何かまた一つ上のステップに進んだ気がする。
今思えば、久しぶりにどん底までの敗北を味わい、悔しくて寝ることもできなくて、その悔しさを忘れずに次はやってやる、っていう、どん底から復活までのゆづがたったの三日で見れて、すっごい濃厚な三日間だったのかもw
このNHK杯があってよかった。
そう思う日がきっと来る。絶対にいつか来る。
次、ファイナルで会うときあなたは20歳だ。
10代の儚くも強くて美しい、そんなあなたに沢山のありがとうを言って、さようならをする。
そして夢と希望に満ち溢れた20歳のあなたに会いにいく。
(彼の誕生日は12月7日で、まだ今日が誕生日のわけじゃないんだけどねw)
最後はこの言葉で締めよう。
「行く価値のある場所に、近道なんてない。」
地元仙台に帰った彼が、ファイナル直前になるまでしばらくプレッシャーなどから解放されて、どうか、今だけは、いい夢を見れていますように。
アスリートとは。
ここでゆづのことを書くのはどうかなと思って迷ったけど、自分の記録のために書いて残しておくべきだと思って書きます。
グランプリシリーズ第三戦、「カップオブチャイナ」略してCoC。中国杯。
この大会の男子FSはスケート界の歴史に刻まれたことでしょう。
今からのことを喋るに当たって、事前に知っておかないとわからないことが多いと思うので、少し説明します。
「グランプリシリーズ」とは。
アメリカ大会(スケートアメリカ)、カナダ大会(スケートカナダ)、中国大会(カップオブチャイナ)、フランス大会(エリックボンパール杯)、ロシア大会(ロステレコム杯)、日本大会(NHK杯)の六つの大会のことで、
毎年シーズン始まりの10月から11月にこの順番で大会が開かれる。
ルールとして、この大会の中で出場できるのは一人2大会が最大。どの大会に出たいか指名でき、抽選ではあるが世界ランキングの上位の選手は割と希望通りの大会に出場できる。
大会で一位になったら15ポイント、二位なら13ポイント、三位は11ポイント……と、ポイントを獲得でき、そのポイントの上位六人が六大会が終わった後に開かれるグランプリファイナルという試合に出場できる。
ここで付け足しだけど、グランプリファイナルに出場するためには、出場した二大会両方で台乗りしないとまず行けない。
そして第三戦で万を辞しての五輪チャンピオンであり、昨シーズン三冠達成をしてる羽生結弦の登場。
第一戦、第二戦と日本選手が優勝してるからこのまま波に乗って、第三戦も日本選手が優勝だ!と必要以上に煽る各方面のマスコミ。(まあ、仕方ないんだけどね…)
ところが、SP(ショートプログラム)ではまさかのミスを連発し、二位発進のゆづ。
それでもFS(フリースケーティング)で逆転勝利をしてくれると誰もが思ってた。この人は、追いかけられる方より追いかける方が燃えて、とんでもない力を見せる人なので。SPが終わって、超悔しそうな顔してるゆづ見て、スケヲタもゆづのファンも私も、みんなが、ああこの人に火を付けさせてしまった。これはFSで取り返すはずだ。と、思ってた。
余談だけど、この人スケヲタの中で「フリルを着た阿修羅」と呼ばれてるのね(笑)可愛い顔してるし普段はほんとに穏やかな性格だけど、それに騙されたらとんでもないことになるぞと。表彰台の真ん中に乗るのは他の誰でもない、この俺だって多分ずっと思ってるからね。フィギュアスケートって実力も勿論大切だけど、精神力も強くなきゃ試合で勝てないからゆづのこの強気で負けず嫌いで頑固な性格はほんとにスケートに向いてるんだけどさ。
まあ、そんなことは置いといて。
いざ、FSの日。
6練(6分間練習)でリンクサイドに姿を現したゆづ。いつもの笑顔は封印して、殺る目をしてるゆづ。ああ、また気合いの入った顔してるわこの人…と苦笑しながら見守ってた。
まさか、まさかあんなことが起こるなんて。
ほんとにこれは悪夢だと思ったし、目の前の光景が信じられなかった。
応急処置をしてもらい、リンクサイドに出てきたゆづ。
そこでゆづが涙を流した。
この時の涙はきっとゆづ自身も自分に何が起こったかまだよく把握できてなくて、脳が処理しきれてなくて、混乱してるがただただ悔しい涙だ。
悔しいのと混乱の涙が止まらず、下を向くゆづ。
その時、オーサーコーチがゆづを見て、言います。
「Look at me (僕を見て)」
と。
泣きながらも顔を上げて、オーサーの顔を見るゆづ。
オーサーは英語で続けます。
「深呼吸して」「もしここでリンクに入るなら落ち着いてゆっくりやりなさい」「身体が一番だぞ」と。
ゆづはオーサーの言うことを聞いて、小さく息を吐いて、しっかり頷きます。
ああ、この頑固な頑固な19歳はコーチのことはきちんと言うこと聞くのだと、ゆづがオーサーのことは心から信頼してるとわかって安堵した。
ゆづを応急処置してくれたのはアメリカの医療チームなんだけど、そこにどうやら脳震盪の先生も見て、脳震盪の疑いがないかきちんと検査してくれてたみたい。で、脳震盪の疑いがないと判断され、ゆづ本人が「出る」と言ったからオーサーはゴーサインを出したと。
この応急処置したときに脳震盪の先生がいた話は、ゆづの精密検査の結果が出た後にわかった話なんだけど、なんでこの情報がもっと早く出なかったんだろう。
脳震盪の先生が脳震盪の疑いがないから試合に出ると一言情報を入れてくれたら、どれだけの人が安心して試合を見れてたか……。
中国杯の関係者が応急処置をしてるゆづをカメラに映そうとするテレ朝カメラマンに何度も何度も「映したらダメだ」と罰サインを出してた。
映さなくていいところは必要以上に映すくせに、必要な情報は一切与えてくれないテレ朝は正直言うと問題だよ。
6練が再開されて、リンクに飛び出るゆづ。
生で見てた時は、ほんとにやめてくれもう滑らないでくれ…って号泣しながら心の底から思ってたし、ゆづが何かを振り切るように狂ったようにジャンプを跳んでるようにしか見えなかった。
あの時感じた震えは、感動でもなんでもなく恐怖だった。
ジャンプ跳ぶ度にどこか痛そうな顔するゆづに、どうしてそこまでして滑るんだ、お前のその華奢な背中に何を背負ってやっているんだ、と。
恐怖しかなかった。
精密検査の結果が出て、ゆづに脳震盪の疑いが完全にないことが分かり、やっと、あの恐怖の6練を、録画再生することができた。
やはり前半は改めて見ても怖い。
でも後半、それまで死にそうな顔で必死に滑っていたゆづが急に穏やかな顔になってどこかを見て頷く。
そしてジャンプを跳ぶ予定のところを次々指差して、確認してるの。
ゆづはこのFSの演技の予定では前半に四回転ジャンプを二本、後半に一回跳ぶ予定だった。
でも今のこの満身創痍の体ではとても三回も四回転を跳べない。
後半はジャンプの基礎点が1.1倍になるっていうルールがあるんだけど、後半の四回転ジャンプをミスしたら点数を稼げない。
そこまであの状態の彼は理解してたんだろう。だから後半の四回転ジャンプを違うジャンプに変えることにしよう、と、あの観客も周りも全員が自分を見てどよめいてる中でゆづはそう考えてた。
フィギュアのルールはややこしくて、ただ跳びたいジャンプを跳びまくっても点数が出ない。単独で同じジャンプを二回跳んだら、片方のジャンプは丸々0点になるし、ジャンプの種類によってこのジャンプは何回までと細かく決められてるのね。
だからジャンプの種類を変更するにあたってルールに引っかかってないか、ジャンプの数はきちんと足りているか、あの6練中にゆづは指を指しながら数を数えて計算してた。
怪我して15分くらいしか経ってないのにもう彼は冷静を取り戻してる。そして勝つためにジャンプの構成を見直してる。自分の体の限界もわかってて、痛む体に負担がかかりそうなものは全て省いて、その代わり今の体でも出来るものを取り入れて。
きっと、あの会場の中で、怪我した本人の彼だけが冷静だったんだ。
生で見てたときは、全然わからなかった。
やめてほしい、ただそれだけの思いで見てたから。
でも改めて見ると、6練後半にしてこの人の冷静さ。
そしてただ滑りたい、じゃなくて、滑る上で勝とうとしてる。
これがアスリートなんだと、彼は戦いの世界で生きてきてるんだと、しみじみ実感した。
変更するジャンプ構成を計算し終えて、ルールに引っかかってないってわかった瞬間、うんっと力強く頷いて、すぐさまジャンプの助走に入ったゆづ。
そして後半の変更するジャンプをすぐさま確認のために跳んだ。
跳んで力強くまた頷いたゆづ。よし、これならいける。これなら大丈夫。と。
そして6練終了。
裏側に消えるゆづ。
そこから自分の演技の番まで50分弱。
裏で更にオーサーとゆづはFSを練り直してたんだろう。
自分の演技の番の間近になってリンクに出てきたゆづ。
前の人の点数発表までしばし時間があるんだけど、そこでも彼は後半の変更するジャンプを入念に確認してた。
そして名前がコールされ、ついに演技が始まった。
ここからジャンプの種類も具体的に書くから、専門的になりすぎるけど、ちゃちゃっと飛ばしておくんないまし。
まずは4S。
転倒。だけど回転はしっかり足りてる。そして4Sは万全な体でもよく転倒するので、まあこの体じゃ無理かなってある程度思ってたから回転足りてるだけで問題なし。
次、4T。
4Tは普段は確実に決めてくるので、ああやっぱり万全の調子じゃないよなと思いつつ、回転はしっかり足りてるからオッケー。
思うに、この二つの四回転ジャンプの着氷はゆづは最初から諦めてたんじゃないかと。
今の足では四回転ジャンプの衝動に耐えられないからきっと着氷はできない、と。でも回転さえ足りてればある程度の点数は出る。転倒の上、回転不足はかなり点数を引かれるけど、回転が足りてたら点数はほとんど引かれないんです。
だから着氷は諦めた上で、でもしっかり回転が足りてればオッケーだと。
そして次は3F。
綺麗に着氷。しかもよくフリップでエッジエラーが取られる人なのに、今回は取られてない!感動!
ここで二つのスピンを挟むのだけど、これもうまいこと変更してきてる。
当初の予定は、
このドーナツスピンと
でもこれは写真でも見る限り、相当腰に負担がかかる。
だからこの二つをやめて、足変えシットスピンや、A字スピンをうまいこと入れて変更してる。変更した上で回転数は足りてるのでしっかりレベルを取って、点数を稼げてます。
そして後半戦に入る。
まずは3Lz-2T。
よし、決まった!ここが彼が変更した部分です。最初の予定は4T-2Tで四回転ジャンプのコンビネーションを跳ぶ予定だったのをルッツジャンプに変更。変更して何度も確認した結果が出て綺麗に着氷出来てる。すごい!
次は3A-3T。
ほんとはアクセルのコンビネーションを予定してたはずが、大得意の3Aで転倒してしまいコンビネーションを付けれず。ゆづが3Aをミスすることなんかまずないので、やっぱり体随分酷いんだなと改めて再確認した。
次は3A-1Lo-3S。
完璧に決めた。前のジャンプでミスった3Aも綺麗に決めた。なんでマスコミ各方面がこのジャンプを褒めないかがわからない!これ基礎点が16点ぐらいあって、今シーズンのジャンプ基礎点ランキングでは今のところゆづのこのジャンプがトップなんだよ!あの体で基礎点が一番高いジャンプを成功させてるんだよ!すごいよ!すごすぎるよ!後、このジャンプを決めたのは彼が初めて。こんな状態で誰も一度も跳んだことのないジャンプを見事決めるとは。ほんとにこの男恐るべし。
次、3Lo。
いつも余裕のよっちゃんでウォーミングアップで跳ぶループで転倒。しかもこのジャンプは明らかに回転が足りてない。満身創痍な体に加えて演技途中に肉離れを起こしたと聞いたんだけど、多分肉離れを起こしたのはこのジャンプでじゃないかと予想してる。
明らかにさっきまでと調子が違う。
最後のジャンプ、3Lz。
回転は足りてるが転倒。もう三回転ジャンプでさえ着氷する気力が残されてない。立ち上がるのも辛そう。それでも立ち上がって演技を続けるゆづ。
ここからのイナバウアーをするつもりだったんだけど当初は、
イナバウアーこれね。
やはり腰が痛むし頭も痛むから、イーグルという技だけしてます。
この両足を外側に開くのがイーグル。
簡単そうに見えるけど、イーグルって技を出来る人はあまりいません。
半信半疑の人は地上で一回足を綺麗に外側に開いてみて。痛くて綺麗には絶対出来ねぇから。
イーグルも点数はしっかりもらえるので、そこでまた点数を稼ぐ。
最後のスピン。
肉離れ起こしてるのになんでこんなに回転が早いんだ。ゆづはジャンプが得意という印象しかない人多いみたいだけど、スピンもほんとに繊細で回転も早くて沢山の種類を持ってて大得意です。男子選手でここまで軸ぶれせず回転が早い人中々いないから今度見たときスピンに集中して見てみて。
そしてやっとの思いで演技終わり。
とてつもなく長く感じた4分20秒だった……。
何がすごいってリンクに入ってから、彼、一回も痛そうな顔しないの。
必死な顔で滑ってるんじゃなくて、表情もきちんと作ってるの。歌を口ずさみながら気持ち良さそうに滑ってんの。
リンクサイドに行った瞬間、やっとアドレナリンが切れたみたいで、足を引きずって痛そうな顔するの。
リンクに出るまで演技してた。彼はプロだった。真のアスリートだった。
ボロボロのゆづ。キスクラには行かなくてもいいと言われたのに、行ったゆづ。
あ、キスクラとはキスアンドクライの略で、点数発表されるところ。
ここのことです。
生のときは解説者の稔や修造が熱くなっちゃって散々うるさかったので、全然オーサーとゆづの会話は聞こえなかったけど、YouTubeで解説なしの動画があがってたのね。
それを見て鮮明に聞こえた二人の会話。
オーサーが英語でゆづに言います。
「メディアはなしね」「すぐに医療室に直行だよ、わかった?」「医師に見てもらおう。大丈夫か確かめないと」
オーサーがこれらのことを話している間、コクンコクンとただ頷くだけのゆづ。
そしてプーを取って、頭を撫でながら「ごめんな」と口パクで。
しばらくして「OK」と言うゆづ。
そして一言。
「With this, I don't go to final…(これで、ファイルに行けなくなっちゃった…)」
と。
この人、この状態で演技したことだけでは全然満足なんかしてなかった。グランプリファイナルに行きたいことが彼の何よりもの思いだったんだ。
ちなみに、ゆづはシニア二年目(16歳)の時から今まで毎年グランプリファイナルに出場してる優等生中の優等生です。そこで四位、二位、一位と確実に結果も残してる。去年は優勝したから今年二連覇がかかってるのね。
ゆづの「ファイナルに行けなくなった」を聞いて大袈裟にガックシするオーサー。そんなオーサーを見て「ふふ」と笑うゆづ。このオーサーのガックシは、「こいつはこんな状態なのにまだこんなこと言ってるのか」って感じなのかな?(笑)ね。そう思うよね(笑)
オーサーが英語で続けます。
「いや、どうかわからないよ」「でもまずは体を治さないと、わかった?」「明日はきっと体中が痛いよ」「エキシビションはナシね」
うんうんと頷くゆづ。
そこで「羽生結弦選手のスコアは〜」とアナウンスされます。
オーサーは続けます。
「これ(点数のこと)は関係ないからね」
「大事なのは出場して滑ったことだから。それが大事だよ。」「僕が君を誇りに思うところはそこだから」
オーサーはゆづの顔を見てこう言うが、ゆづはここで頷きもせずジッと点数が表示される画面を見てます。
そしてスコアが表示される。
え!?とオーサーの顔をバッと見るゆづ。
「What happened!?(何が起こったの?)」というゆづ。
そして「OMG〜」と言って泣き出すゆづ。
この彼の涙の理由は…、「この状態でも滑り切れたこと」でもなく、「こんな状態で滑ったのに暫定一位に立てたこと」でもなく、「ファイナルに望みを繋げることが出来た」っていう涙なんだね。
この時点で暫定一位で、残るのはコフトゥンのみ。つまりコフトゥンがゆづが抜かしても二位。台のりは確定。13ポイントはもらえると言うことです。
彼はこの状態で演技できたことに泣いたわけではなかった。それならば演技終わった瞬間に泣いてるはずだから。見てる人も観客もみんな演技おわって大号泣だったのにゆづはそこでは一切泣かなかった。満足してなかったからだ。
私はだからこのタイミングで泣いた理由は、こんな状態で滑って暫定一位に立てたからだと思ってた。
でもキスクラでのゆづとオーサーの会話は聞いて違うとわかった。
オーサーは「この点数は関係ない。大事なことは滑ったこと」と点数が出る前にゆづを励ましたのに、それに対してゆづは頷くこともせずスコアが出る画面だけをジッと見てたからだ。点数は大事じゃない、とオーサーに言われたが、ゆづからしたら点数が一番大事だった。
満身創痍な状態で滑り切ったことでもなく、世界中を感動させたことでもなく、彼の中では点数が一番大事だった。
そして言った「ファイナルに行けなくなっちゃった」
一度は諦めかけたファイナルが見えてきた瞬間、ゆづは涙を流したのだ。「滑ってよかった」と。
真のアスリートは泣く理由さえも、アスリートだった。
そのあと、泣き崩れながらもしっかりと言った「ありがとうございます」と日本語で。
最後の最後まで礼儀を忘れなかった彼。
リンクを出る時もいつものように腰が痛いのにきちんとリンクに向かって礼もしてた。
この氷の上で戦った男をかっこいいと呼べなくて誰をかっこいいと呼べよう。
この人が私が好きになった人だと思った。
NHK杯、彼はどうするんだろう。
一市民の私たちが彼が決める前から「出るな!」と言うのは間違ってる。
今回のことでほんとによくわかったのは彼はきちんと自分の体の状態をわかっている。わかった状態で判断している。
この人は頭がいいから大丈夫だ。
彼の決断を待とう。
もし出ると決めたならまさかの嵐京セラとだだかぶってるけど「がんばって!」とできる限り応援するし、
出ないと決めたなら「全日本までゆっくり休んでまたリンクに戻ってきてね」と言える準備をしておこうかな。
でもこれだけは忘れないで、ゆづ。
あなたは確かに誰にも迷惑はかけなかった。迷惑はかけなかったけど、沢山の人に心配をかけたってことを。
あなたを愛している世界各国の沢山の人が、あなたの精密検査の結果が出るまで眠れぬ夜を過ごしたということを。
氷の上で誰よりも輝くあなたが、スケートが大好きなあなたが、一生スケートが出来なくなるかもしれないと恐怖と不安で震えていたことを。
月曜日の報道ステーションで大会が終わって、帰るゆづを修造がインタビューした。
「今日の羽生選手を見て、みんなが伝わったと思う。”諦めない”と言うことが」
って言った修造に、ほんとに心からの安堵の笑みを浮かべて「よかった」と言ったゆづ。
「でも諦めなくて本当によかったと思ってます」
と穏やかな笑みを浮かべてこう続けた。
これを聞いた瞬間、胸のつかえが完全に取れた。
あなたが心の底からよかったと思ってるなら、後悔してないなら、それでよかった。
いつでもいい。いつまででも待つよ。あなたがまたリンクに戻ってくる姿をずっと待っています。
FLY YUZU !!!
ここでゆづと衝突した18歳のハンヤンちゃんのことを。
彼は精密検査の結果、脳震盪の疑いが出てます。
なのに、検査三日後に練習を再開してて来週の大会に出ることも決めている。
ハンヤン、あなたには言いたい。
もう少し待ってくれ、と。
脳震盪の疑いが出てるならもう少し安静にするべきだ。
思うに、ゆづとハンヤンが衝突した時、ゆづは中々その場から立てなかった。しかしハンヤンは割とすぐに立ってリンクサイドに自分で行った。
ここでハンヤンは軽傷だと思われたのかもしれないし、なんたってゆづは五輪チャンピオンで、今日本だけではなく世界中で大人気だから、誰もがゆづばかり見てた。
アメリカの医療チームもゆづの治療をしてたし、ゆづの周りには20人弱もの人がいて治療していたのにも関わらず、ハンヤンには私が確認した限り五人程度しかいなかった。
ゆづはしっかり治療してもらったけど、ハンヤンの治療は疎かだったのかもしれない。
ゆづのその時の状態はオーサーがきちんと日本のメディアに話をしてくれてるから、脳震盪の疑いがないかゆづに英語で数字を逆から言わせて、きちんと言えたことや、混乱してるゆづのお母さんにゆづ本人が事情を説明しに行ったことや、ゆづがその時どれほど冷静だったか教えてくれたから安心した。
でもハンヤンは本当にその時脳震盪の疑いがなかったか、誰がゴーサインを出したかなどの情報が全く出てない。
棄権する予定だったのに、出ることにしたのは誰の意志だったか、そして誰からオッケーをもらったか。
改善すべき点は沢山あるし、ハンヤンのことは情報が少ない分不安です。後遺症に悩まされることのないよう、しっかり考え直してほしい。
ゆづはスケート選手からも大人気だし(あの可愛い可愛いロシアっ娘たちや中国女子選手はみんなゆづが大好きで、あんな可愛い子たちにモテるゆづズルい)、男性スケートでも仲良しな選手が沢山いるけど(ハビとゆづの関係は少し危ないぐらいだ)、ハンヤンはシャイボーイで中々外人スケートと打ち解けられない中でもゆづには心許してる感じで、バンケのたびに二人のツーショットのお写真が出るぐらい仲良しなので、ハンヤンがわざとぶつかったとか言う人には怒りしかない。
二人とも未来がある若い大好きな選手だから、二人とも良くなりますように…
こんなくそほど長い文章、読んでくれた人はありがとう。