GPF優勝おめでとう!!(前半)


ゆづる、GPF優勝おめでとう!!!
GPF二連覇おめでとう!!!!

ほんとはGPFは何も言うことがない素晴らしい試合だったから記事挙げる必要はないなって思ってたんだけどw

中国杯NHK杯と記事を挙げてきたんだから、羽生結弦の軌跡としてGPFの事も挙げるべきだと思いまして。





NHK杯のFSの次の日、ゆづはこう言った。

「GPFのチケットをギリギリ掴ませていただいたチャレンジャーとして、出場する日本人選手最下位として、思い切って上目指していきます。」

NHK杯が終わりゆづだけを日本に置いてカナダに帰るオーサーはメディアにこう言った。

「彼に二週間分の詳細の練習スケジュールを渡したよ。かなりハードな内容だから、これを見たら彼は嫌がるだろうが、やってくれるだろう。これさえやれば彼はGPFで戦える

私はオーサーがどんなハードなスケジュールをゆづに渡したかわからない。ゆづがGPFまでの二週間弱どれだけ自分を追い込んだのかもわからない。

だけど私はこのオーサーの力強い言葉だけをただ信じた。



GPF開幕の三日前、ゆづは日本を出発した。

二週間ぶりに見るゆづ。
羽生結弦(19)と今まで表記されてた彼が羽生結弦(20)になっていた。

日本を出発する前に彼はメディアにこう言い放った。

「本当に、本当に本当に本当に練習してきました。」

元からめちゃくちゃ練習するタイプの彼が「本当に」を何度も繰り返して「練習してきた」と言う。
その練習量がどれだけのものか考えただけでゾッとするけどw

彼はNHK杯から二週間弱経った今でも、ギラギラした目でバルセロナへ向かった。



バルセロナの彼はとにかくリラックスしていた。
現地に観戦してる人の公式練習の動画やレポを見たり、WSでの映像を見る度に思ったが、変に自分を押さえ付けてる感じもなく、公式練習でも他の選手と話して笑顔を見せたりして、集中しなきゃいけない時はしっかり集中できてる顔で。

そして、全体的に調子がとても良かった。

苦戦してた3Lz-3Tも助走を飛びやすいように変えたと語ってて、結構確率も良かったし、4Tもほぼ決めていた。

SP当日の公式練習ではSP曲かけでジャンプパーフェクト。

大丈夫だ、大丈夫。と思いながらも、不安は自分の中でどうしても拭い切れなかった。

男子のSPはこっちでは朝の五時からだからテレビでリアルタイムでやってくれる訳なんか勿論なく、ライストで見るしかなかった。
正直、朝五時に起きてリアルタイムで見ること自体をやめようかと少し悩んだ。朝起きて先に結果だけ知ろうかな、とか、そんなふざけたこと考えてた。

その日は夜中の二時ごろまでライストでジュニアの女子シングルと男子シングル見て、寝たんだっけな。

一応五時に目覚ましはかけて。起きたら見ようと思いながら。



朝、五時ぴったりに目が覚めた。
三時間しか寝てないのに、起きたとき驚くほどスッキリしてた。

ああ、これは見ろって事なんだと。

六分間練習。ライストだから色んな選手を交互に映すので、ゆづが何を跳んだかとか、どれだけ調子が良いとか全然わからなかったけど。

第一滑走。
今シーズンから名前をコールされてから30秒以内に演技位置につかないといけないルールに変更されたが、第一滑走のみ一分間使えるのだ。

ゆづは昨シーズンまで一分間ルールのとき、一分間ギリギリまで時間を使って定位置についてたので、久しぶりに一分間使っていいんだよ、と。
ほら、ゆづるさんはおまじないが沢山あるから、それを久しぶりにゆっくりやりな、って。

SP、ショパンバラード一番が始まる。
ああ、バラ1ほんとに綺麗で大大大好きなんだけど、リアルタイムで見るのはやっぱ怖いな(笑)

ピアノ曲は無駄な音がないし、ピアノと周りのカメラを切るシャッター音しか聞こえなくて、ほんとにパリ散のときの百倍緊張する。

ここからちょっと専門的になりやす。

まずは、4T。
降りた!ふわっと降りた!ああ、降りた!今シーズン初めて試合で4Tを降りたことでもう泣きそう…。しかも、いつも通りの加点沢山もらえそうな4T。

フィギュアでは、ジャンプそのものの技術点があり、そこからそのジャンプの出来栄えによってその技術点から加点されたり、減点されたりします。
これをジャンプの出来栄え点GOEと言い、−3〜+3まで加点されます。

着氷が乱れたり回転が足りなかったりステップアウト、両足着氷などをしたらGOEがマイナスになってしまう。

中でも回転不足(UR)は、そのジャンプの基礎点の70%しか貰えない上に、GOEでマイナスがつく。
だから、回り切って転倒するより、回転不足で着氷するほうが痛いよって事です。

ゆづは見ての通り、ジャンプが決まれば世界一綺麗なのでこのGOEで二点以上出る人です。

GOEで2点から3点出る人ってそうそういません。
この4TはGOE2点を貰ってて、つまり4Tの基礎点10.3点+2点で12.3点。

この4Tの何が凄いって、簡単に言うと着氷した後、着氷した方の足だけで滑り続けるんだよ。

この4Tからフリーレッグでピボットの流れが本当に凄すぎて、これちょっと本当に信じられない(笑)
これ見てたフィギュアファン全員目から鱗だから(笑)こんなの普通できないの、普通ね。

ゆづみたいな人はジャンプまでの助走も短いし、そのジャンプの前後の動きが素晴らしく難しい動きしてるのね。

前半は4Tのみなので、その後二つのスピン。
スピンも、沢山種類があってそれを組み合わせて、スピンそのものの基礎点の上に、レベルってのがあってレベル1〜4まであります。

スピンは最低限一つのポジションで回る回数、スピンを組み合わせる数などきちんと決まってて、回転数が全て足りてて、軸の曲がりなどがなかったらレベル4貰えます。

ゆづはジャンプ以外にスピンもとっても得意で、柔らかい体を使ってとても繊細なスピンが出来るので元のスピンの基礎点が高い上、取りこぼしもなくレベル4。


演技は後半に。
後半はジャンプの基礎点が自動的に1.1倍になります。

得意のカウンターからの3Aからのイーグルでインエッジでチェンジ。
これもただ3Aを跳ぶだけじゃなくて、カウンターという難しい技をしてからそのまま3Aを跳び、そしてすぐさまイーグルという技をしてます。

GOEは2.43点。
つまり3Aの基礎点8.5点×後半に跳んだので1.1倍=9.35点+GOE2.43点=11.73点。
ね。加点のオンパレードでしょ(笑)

この人は元の調子になると他の人よりジャンプをが簡単に跳べちゃうので、ワザと難しい入り方や技をします。ほら、ジャッジよ。俺に加点をつけろよ。アピールですww

そして最後のジャンプ3Lz-3T。

転けた!!!!!転けちゃった!w
夜中の五時に思わず変な声でたw

でもこれって3Lz-3T転けた。残念( ;  ; )って感じじゃなく、3Lzの時点でめちゃくちゃ軸が前に傾いてたのに、よくこのあと3Tつけたな!って感じw

しかも完璧に回転が足りてる上で転倒してるのがこの人の凄い所。

SPのルールとしてジャンプを絶対三つ入れること。そしてその内一つはコンビネーションにすること。コンビネーションのセカンドジャンプは二回転以上。っていうルールがあります。

だから3Lzで軸が傾いてそのあとセカンドの3Tをつけられなかったらそれだけで基礎点も少ない上にだいぶ減点されます。

そんな中でセカンドで3Tを跳んだ、しかも回り切ったのは、完全にこの人の意地(笑)

3Lz-3Tの基礎点10.1点×後半1.1倍=11.11に転倒によってGOE−1.9点=9.21点。

回転足りてることで最低限の減点で収まってます。

そしてステップ。
ステップもスピンと同じようにレベル1〜4まであり、バラ1のステップは超高速激ムズステップなので当たり前にレベル4。

最後の二つのスピン。
両方ともレベル4!素晴らしい!

最後の最後のスピンは中国杯NHK杯も音の終わりにキッチリ合わせてフィニッシュポーズを決めることが出来てなかったんだけど、今度はバッチリ!しかもレベルも4!

終わった時のゆづの顔。

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ああ、ああ……見たかったゆづの笑顔だ。何よりも見たかったゆづの晴れやかな笑った顔だ。

印象的だったのが3Lz-3Tで転倒してしまって起き上がった時、彼が笑っていたことだ。そしてその後の高速ステップも終始笑顔だった。

高速ステップの後のスピンも普通に見てたら回転が早くて気付かなかったけど、スロー再生やお写真でスピンをしながら笑っていた。

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スピンしながら笑ってるゆづなんて今まで一度も見たことなくて、終わった後こんなに笑ってるゆづ見るのは久しぶりで、そのことが何より本当に本当に嬉しくて嬉しくて、涙が出た。


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キスクラでも終始ニコニコ笑顔なゆづるさん。

日本の解説者はこう言っていた、
「悔しさも含んだ笑顔ですね」って。



そう言ったが、でも。でも、私は今回のゆづのこの表情に悔しさは一つも感じなかった。
この笑顔は、絶対悔しさなんか含んでいない。彼の心からの笑顔だ。

解説者はこうも言った
「3Lzがね…3Lzだけがね……」



違うだろう。
彼が3Lzコンボを転倒してしまったことより、彼がたった二週間でここまで戻してきたことを何より褒めるべきではないのか。

二週間前のNHK杯では4Tはパンクで3Tの上に転倒。最後の3Lzはセカンドジャンプをつけることさえ出来なかった。

そんな彼がたった二週間で4Tを完璧に着氷し、3Lzのコンボもつけることが出来た。
その凄さに比べたら3Lzのコンボが転倒しただなんて、今回に限ってはそこまで重要視することじゃないと私は思ったけどなあ。

フィギュアはTES(技術点)とPCS(演技構成点)を足したものが点数として出るんだけど、TESはさっき話してたジャンプやスピンの技術そのものの点数で、PCSは簡単に言うとスケーティングスキルや曲をどれだけ解釈して滑ってるかなどのことですね。

演技終了後、TESだけで50点超えてた羽生さんww

点数は94.08点。
転倒したのになんで一位?とか90点台出るのはおかしいって言ってる人がいるけど、最低限のミスで済ましているしスピンステップはオールレベル4だしで、私は出るべき点が出てると思う。

ゆづとオーサーの狙いとしては、これだけ密度の濃い演技をして、ジャンプ前後も難しいステップを組み入れることで、ジャンプを一つぐらい転倒しても90点台出るよっていう作戦なんだろう。

ゆづのやってる技はパッと見ただけではそれが難しいこととはわからない。でもその難しい技を簡単にやってるように見せることが何より凄い事だってことです。




そして、SPを滑り終わった後の彼のコメント。

「今まで自分をセーブしなくてはいけない体のことを考えながら滑らなくてはいけないっていう状況だったので、ほんとにもう今日は久しぶり最後まで非常に楽しく目一杯滑れました

「幸せでした。滑っていて本当に気持ち良かったです。久しぶりに曲を感じることが出来て、最後も笑って終えることができました!」



そっか。そっかそっか。
滑ってて楽しかったんだ。ただただ滑ることに幸せを感じてたんだ。
だからステップのときあんなに楽しそうに笑ってたんだ。

正直五輪チャンピオンになってから、沢山背負うものが出来て、それでも成長する楽しさとかライバル達と対戦する楽しさとかは勿論感じれるけど、スケートすることそのものに楽しさは感じることは出来なくなるんじゃないのかなって思ってた。

でも、点数どうのこうのじゃなくてただ滑ること自体が楽しかったって。
ゆづのその言葉を聞けて本当に嬉しかった。


結局SP一位で折り返し。
いやあ、でっかい漬物石*1だったなあ(笑)

自分の番が終わったゆづるさんがチラチラ地上波では映ってたんだけど、緊張から解きほぐされたみたいなとりあえずホッとしたみたいでずっと穏やかな表情してました。


http://youtu.be/InLvmhj-Edk
http://nico.ms/sm25111103

SPの動画置いときまーす。
さっき言った4T着氷後のフリーレッグとか、カウンターからの3Aからのイーグルでインエッジとか、もし良ければそこに注目して見てみてくださいー!

思ったよりクソみたいに長くなったので、FSと分けますw

FSの記事まだ全く書いてないから挙げるのいつになるかわからない…。


*1:スケート界では第一滑走の人の点数を後に滑った人達が抜かせず終わることを漬物石と言います