好きになった経緯とか


フィギュアスケートは昔から見ていた方だと思う。

別に特別な理由はない。
日本でウィンタースポーツの中ではフィギュアスケートが一番有名で、人気だったからだ。

バンクーバー五輪で真央ちゃんの悔し涙にテレビの前で一緒に涙したことも覚えてるし、”世界一のステップ”と言われる大ちゃんのステップに魅了されたことも覚えてる。

そんな中で「羽生結弦」というスケーターを初めて私が認識したのは2010年の全日本選手権だった。

バンクーバー五輪の次のシーズンの2010年の全日本選手権

国内の女子スケーターはそれこそ浅田真央とか安藤美姫鈴木明子荒川静香村主章枝中野友加里など結構知っていたが、私が男子スケーターで知っていたのは高橋大輔織田信成小塚崇彦の三人だけだった。すなわちバンクーバー五輪に行った三人。

この三人でこれまでずっと全日本の表彰台争いをしていたはず。つまり、表彰台にこの三人が乗るのは何年か前から当たり前だった。後は誰が表彰台の真ん中に立つかの争い。

そんな中で、2010年全日本選手権でSPで二位に立ったのが羽生結弦だった。

SP一位は小塚くんだったんだっけな?
結弦は、織田くんも大ちゃんも抑えて二位。

今まで名前も知らなかった人が急に勢いよく崩されるはずないバンクーバー三人組に割って入ってきた。年齢を聞くとまだシニア一年目の16歳だと言う。 フィギュアスケートは、ノービス(〜12歳)、ジュニア(13歳〜18歳)、シニア(16歳〜)と分けられていて確かにシニアには16歳になると上がることが出来るけど、それはかなり実力のあるものだけで殆どは16歳からシニアに上がってくる選手はいない。だから16歳でシニアに上がってきた結弦は幼き頃から確かに実力があった選手なのだ(ファンになってから分かったけど、ゆづは15歳の時、JGPシリーズ、JGPF、全日本ジュニア、世界ジュニアとジュニアのありとあらゆる大会のタイトルを総ナメにした男だった)

でも、勿論その当時の私は羽生結弦がどれほど実力があったかなんて全く知らない。知るわけない。その当時の私は、フィギュアをルールもろくに知らずただ見て楽しんでるだけのお茶の間ファンだったのだから。

だから、バンクーバー三人組に割って入ってきた羽生結弦は確かに私の中で”邪魔者”だった。そんな目の敵にしてたわけでは勿論ないけど。「なんだこいつ、誰なんだこいつ」って思いしかなかった。

そして、次の日のFSでゆづは四位に沈んだ。結局表彰台はバンクーバー三人組で、ゆづは表彰台に乗れず。解説者にはFSで点数が伸びなかったのは「体力不足」だとか言われてて。なーんだ、若いから勢いよく出てきただけか。FSは体力不足でバテバテじゃん。とか、私は、ゆづのこと、鼻で笑ってた。最悪な話だけど。

それからフィギュアをテレビでやっててもあまり見なくなった。いや、見てたのかもしれないけど記憶に全くない。

次に強烈に覚えてるのは、2012年の全日本選手権。あの時からちょうど二年後の全日本。何気無く観ながら「相変わらず男子では大ちゃんが強いんだなあ〜」とか思ってて、大ちゃんがSP一位のまま残るは最終滑走の羽生結弦だけになった。

二年ぶりの結弦を見た時、まずあの当時とのオーラの違いに驚いたのもあったし、何より演技が衝撃的だった。その時のプログラムがあの「パリの散歩道」
四回転ジャンプにはとても見えない余裕すぎる四回転。めちゃくちゃかっこいい入り方(その時はカウンターとか知らない)のトリプルアクセル。当たり前のように決めた三回転のコンビネーション。終始余裕そうに挑発気味に微笑んでいて、スピンも軸ぶれせず綺麗で、ステップもキレキレ。何もかもが完璧で、完璧すぎるほど完璧で。圧倒的なオーラがあって、人ってたった二年でこんなに変わるんだ、こんなにうまくなるんだって本当に感動した。

点数は当たり前のように一位で、なんと二位の大ちゃんに八点も差をつけていた。結局、FSもミスは少しあったものの一位でゆづは当時18歳の若さで全日本王者に輝いた。なんていうかSPのパリ散の衝撃度がほんとに半端なくて、あの当時からの圧倒的な強さを今のゆづを見ても思い出せて、この2012年全日本選手権はほんとよく覚えてる。それでもここでゆづのこと本格的に応援しよう!ファンと言われる部類に入ろう!とは全然思わなかったんだけど(笑)

でもそんな強烈に覚えてる2012年の全日本選手権。SPは今でもよく見るけど、FSの日は今だに見ることが出来ない。ゆづが初めて全日本王者に輝いた年の大会なのに。ゆづファンの大半の人にとってある意味トラウマな大会で、2012年の全日本と聞くだけで苦しい思いになる。めちゃくちゃ悲しい。本当に本当に悲しい。自分の好きな選手が負けたからって一位の人を受け入れない会場、観客がいるなんて本当に許し難い事だと思う。私は今でも思う。初めての全日本王者になり、表彰台の一番上で無理やり作った笑顔じゃなくて心からの笑顔のゆづが、見たかった。

そして時はまた少しだけ過ぎて、2013年のGPF。ゆづは2シーズン続けて同じSP「パリの散歩道」で世界最高点を獲得した。前シーズンのパリ散より更にパワーアップしてるパリ散を見た、っていうか魅せられた。この試合でゆづはSP、FSと共に一位でGPF初優勝を果たした。GPF優勝よりもっと凄い!と感動したのは、あのパトリック・チャンを破っての優勝だったということ。

いくらフィギュアお茶の間ファンだった私でもパトリックチャンの圧倒的な強さは知っていた。日本男子では大ちゃんが一番強かった時だって、大ちゃんが中々チャンに勝てなかったのを覚えてるし、チャンはどの試合でも殆どミスをしない強すぎる王者だった。そんなチャンにゆづが勝った。大ちゃんにゆづが勝った時も中々驚いたけど、その僅か一年後に世界チャンピオンのチャンに勝ったときのあの興奮と感動を忘れていない。

この時、何が一番ゆづに心を揺さぶられたって、ゆづはFSの演技で冒頭の4Sを転倒した。しかしその後は何もかも完璧だったのだ。前日のSPも完璧だった。たった一つのミスだけ。だからそこにいた観客はみんな演技後、スタオベして盛大にゆづを讃えた。なのに、当の本人は終わった後もキスクラでも優勝が決まった後でさえもずっと悔しそうな顔を隠さないのだ。一つミスしてしまったのがとにかく悔しい、優勝したって、あのパトリックチャンを倒したって完璧な演技が出来なかったことが悔しい。そういう事なんだ。そんな自分にはとことん厳しく、常に完璧を求めてるゆづの性格と根性に感服した。演技してるゆづにも魅せられたけど、顔に似合わずどこまでも貪欲な性格に好きだ!この人が好き!って思った。私は努力を惜しまない人が好き。努力することを当たり前だと思ってる人が好き。そして何より、常にどんな時だって前を向いてる人が好き。

嵐だけ、櫻井翔だけを応援しなくてもいいじゃないか。櫻井翔羽生結弦を応援してもいいじゃないか。追う背中を二つに広げてもいいじゃないか。だって、私は翔くんと同じぐらいに、この羽生結弦という人物の未来を一緒に見たいと、そう思ったんだもの。
2013年GPFで、この場合やっと、と言うべきなのか。私は羽生結弦を本格的に応援していく事を決めた。

そんなGPFの約二週間後の2013年全日本選手権、兼ソチ五輪選考会。結果はつい一年前大ちゃんといい勝負を繰り広げたとは思えないぐらい圧倒的な強さでゆづの勝利だった。全日本王者は必然的にソチ五輪の切符の三枚のうち一枚を手に入れることが出来ることが決まってるので、圧倒的な強さで楽勝優勝を果たした結弦は「これ、皆さんよりお先に貰いますね」と言わんばかりに余裕たっぷりにソチ五輪出場資格を手に入れた。まるで全日本にはもう俺の敵はいない。俺の敵はパトリックチャンだけだ。と、言ってるような圧倒的な強さだった。世界最強と言われてるのが日本男子フィギュアで、誰がソチ五輪の出場権を掴むんだと世界でも注目されてるぐらい強い選手が沢山いるのに。そんな殺伐とした激烈な戦いの中でも羽生結弦一人だけ抜きん出てた。

そしてこの大会で私は疑問に思ったことがあった。13年全日本の最終結果は、一位羽生結弦、二位町田樹、三位小塚崇彦だった。この一位のゆづと二位のまっちーはSPとFS共にほぼノーミスで完璧な演技を披露した。なのにそんな一位と二位の点差は20点以上もあったのだ。見てるだけだと二人はほぼ完璧なのに、この20点の差は何なんだろう?って疑問に思った。ゆづの演技は他の選手よりも明らかに違うことはわかる。ゆづがめちゃくちゃ強いのは見てるだけでもよくわかる。でも、具体的にどこがどう凄いのかがわからない。好きな選手なのにゆづの高得点の具体的な理由を述べることが出来ない。この疑問を持った時、初めてフィギュアを本格的に勉強しようと思った。ジャンプの見分けは、アクセルだけかろうじてわかるぐらい。どのジャンプが点数高いかなんか全く知らない。ジャンプをいくつ入れていいのかルールもろくに知らない。だから、応援していくにあたって勉強しようとこの時初めて思った。

それから時間を見つけては、まずはジャンプの名前と点数の高さを覚え、次にフィギュアそのもののルールを学び、そしてそれぞれのジャンプの見分け方を覚え始めた。ソチまでにジャンプの見分け方分かればいいなあとか思ってたけど、結局それは間に合わなかった(笑)

だからソチ五輪は全ての選手の演技を見せてくれたから、第一グループの第一滑走の選手から見て、名前も知らない選手だから勿論どんなジャンプ構成なのかも知らないしこれは好都合だと思って、一人一人の選手を見ながら跳んだジャンプを解説者と一緒に「トリプルフリップ!」「トリプルルッツ!」とか言って勉強してたなあ(笑)

ソチ五輪の団体戦であの会場の凄まじいロシアコールの中、最終滑走で堂々の演技をして皇帝プルシェンコもパトリックも抑えて一位に立ったゆづを見て本当に誇らしかったし、なんと言ったって個人戦のSPのパリ散で100点を超えたときのあの興奮なんて一生忘れられない。2012年の全日本だって2013年のGPFだって全日本だって確かにノーミスで完成度高かったけど、そんな二年間暖めてどんどんどんどん自分のものにしていったSPパリの散歩道がソチ五輪で一番いい演技が出来た!三つのジャンプ、スピン、ステップの全てが非の打ち所がないパーフェクトな演技が出来た!っていうこの人の勝負強さにただただ感服するしかなかった。FS当日、もう朝からめちゃくちゃ緊張してて心臓痛かったことも覚えてるし、金メダルが獲得したとき深夜の三時、四時過ぎなのに飛び跳ねて喜んだことも、次の日のメダルセレモニーで金メダルを貰って嬉しそうな、本当にただただ嬉しそうな顔してるゆづ見て涙が出たことだって一生忘れない。

ソチ後にお母さんの仕事仲間で昔からのフィギュアファンの人に昔からのゆづが出てる大会やドキュメンタリーを全てダビングしてもらって、それを見て私がどんどん沼にハマっていったのは言うまでもない…(笑)そしてその時初めてニースのロミジュリを見て、なんでこんな素晴らしいものを当時の私は見なかったんだ!馬鹿野郎!!って死ぬほど後悔したし、他にもゆづだけじゃなくて他の選手の演技やゆづが出てない大会も見ることでフィギュアそのものの魅力も感じて、ゆづ以外にも好きな選手が沢山出来て。ソチ終わったあたりからジャンプの見分けが完璧につくようになって、そのノルマを達成したから次はスピンの種類やレベルの取り方を学んで、ジャンプの見分けがつくようになったことで必然的にジャンプの回転不足なども自分の目で見てわかるようになった。

今もまだフィギュアスケートの全てがわかったわけじゃない。まだまだ分からないことだらけで奥が深いスポーツだなと思うし、だからこそ楽しいんだと思う。ちなみに今はフリップとルッツのインエッジとアウトエッジを自分の目で見てもわかるようになることと動作の一つ一つの名前を出来るだけ覚えることが目標!←
フィギュアは動作一つ一つ全てに名前があって、カウンターやロッカー、イーグル、ウォーレイ、シャッセ、スリーターンなどある程度よく名前が出る動作の名前は分かるが、まだまだ知らない動作の名前が沢山ある。それを知ることでどの選手にどれだけ技の繋ぎが多いか、またこれらの技をしてからジャンプに入ってるかがわかって、どの選手のジャンプが難しい入りで加点が沢山つくか今以上にもっとわかってくるかなあって。

これらのことを勉強してわかったことだけど、羽生結弦の真の強さはきっとルールをしっかり学ばないと分からない。絶対分からない。彼がどれだけ戦略的に今のルールに有利な構成にしているか、どれだけ技の繋ぎが多いか、それがルールを知ることで自ずとわかってくる。そしてゆづが今演じているSPもFSも、確かに彼にしか出来ないことなのだ。他の選手に羽生結弦の真似をしてみろと言われても絶対に出来ない難しいプログラム。ゆづのジャンプもステップも難しいようにはとても思えないと言う人がいると思う。でも、その難しいことを簡単に見せてるのが彼の一番凄い所なのだ。後は、彼の日々の進歩。つい二年前の彼の演技を見てほしい。プログラムの内容の豊富さもスケーティングもスピードも何もかもが一目で見てすぐにわかるほどに明らかに違うから。2011-12年シーズンの伝説のFSロミオとジュリエット、そのプログラムをゆづは2014年世界選手権のエキシで滑ってくれた。当時は滑り切るのが精一杯でいっぱいいっぱいだったあのプログラムが2014年にゆづが滑った時に感じたのが「物足りなさ」だった。今のゆづがやるには簡単すぎるほど余裕たっぷりだった。あの伝説のプログラムをエキシとしてもう一度滑ってくれたことに感動しまくりだったけどもう一度競技プロに戻すには確かに物足りなさを感じた。それほど彼は日々の、一年ごとの、進歩が凄い。ソチシーズンと今シーズンだって一年でこんなにスケーティングが滑らかになるのかって目を疑うぐらいスケーティングが柔らかくてエッジワークが格段に上手くなった。だってまだまだ若いんだもんね。世界王者で全てのスケーターが必死に彼の背中を追いかけているのに、そんな世界王者も毎シーズン成長するんだよ。他のスケーターからしたらなんて厄介な選手なんだろう。今の構成点でも鬼畜プログラムだとか言われてるのに、来シーズンはさらに構成点を上げるつもりでいるしね。本当に毎シーズン見てて楽しい選手だ。

ゆづのめちゃくちゃ頭がいいところが好きだ。頭がキレすぎてどんなトラブルがあったって少々のミスをしたって瞬時に対応できる頼もしい貴方が好きだ。

見た目はこんなに華奢で可愛い少年にしか見えないのに中身は人一倍漢なところが好きだ。何をしたら一点でも多く点数を貰えるか常に考えていて勝つことにとことん貪欲で、そして勝つために努力を惜しまない貴方が好きだ。

自分の意思をしっかり持っているところが好きだ。自分の思っていること、感じたことを忠実に言葉にして人に届けることができるあなたが好きだ。

そして何よりいつだって感謝の気持ちを忘れないところが好きだ。リンクに入る時だっていつも一礼をし、キスクラでも何回も「ありがとうございました」という言葉を口にし四方八方に礼をする、自分がスケート出来ているのは周りの関係者の多大なサポートのおかげ、いい演技が出来たのは会場のお客さんやいつも応援してくれるファンのおかげ、人のためにスケートをしているとき驚くほどの力を発揮する、いつも礼儀が正しくて情が深い貴方が大好きだ。

スケートしてる時のあなたが好きだし、スケートの練習をしてる時、人が変わったみたいに笑顔は封印して真剣な顔しているあなたが好きだし、逆にリンクを降りたらいつだって笑顔なあなたも好きだ。いつだって誰にだって笑顔で、苦しくても泣きたくてもそれでも笑うあなたが……好きだ。

王者の辛さはわかってるつもりだ。これからあなたは四年間戦い続けることを選んだんだから、四年間ずっと一位なあなたを見れるなんて思ってないよ。これから不調な時だってそりゃくるし、あなたが表彰台の真ん中に立てない時だってあると思う。それは想像しただけで苦しい。いや、想像なんかしくてもあのNHK杯は苦しかったもの。でも、大丈夫。ゆづがどんな時だって目を逸らさず応援することをもう決めたから。オーサーが「チーム・ブライアン」という本で最後に”ユヅルへ”から始まるゆづへのメッセージを書いてたんだ。そこにこう書いてある。

ユヅルは周りに気を遣うので、「自分が最高の状態であることをいつも見せれば、周りの人を幸せにする」と考えています。それがユヅルの優しさではありますが、あと四年間注目され続けるのは、ちょっと疲れます。

全て全力ではなく、ミスを受け入れるという境地に至って欲しいと思っています。ユヅルは格好悪いところを見せても大丈夫。日本のファンは待ってくれます。苦しむ姿にも共感してくれます。それに、ユヅルがどんな状況であれ、チーム・ブライアンがいます。

あなたの一番近くにこう言ってくれる人がいて良かった。あなたのコーチがこんな心強い言葉をかけてくれる人で本当に良かった。

オーサーの言う通りだよ。私たちはどんなあなただって受け入れるよ。あなたと一緒に壁を乗り越えれたらいいなって、そう思ってるよ。そして、四年後の平昌であなたの最高の笑顔が見れたら、いいな。それを何より望んでいる。
だって決めたんだから。あなたが「引退します」って言ったとき「お疲れ様でした。今までありがとう。」って、その言葉をあなたに掛けるまであなたを見守っていこうって、決めたんだからね。


まあ、ここまでダラダラダラダラ書いてきたけど、これが私の羽生結弦を好きになった経緯で、彼を好きになった理由だ。
なんか色々めんどくさいことも重いことも書いたけど、まあ今がこんなに楽しいからいいよね。その言葉に尽きる。フィギュアのことを沢山知って、彼を追いかけてる今が一番楽しい!だからなんだっていい!

とりあえず熱がどんどん高くなってく状態で、毎日毎日本当に楽しいんだけど、こうやって過去のことを思い出してみたら(っていっても好きになったのつい一年前だからそんなに昔ではない)、なんだか色々思い出すこともあるのです。無性に懐かしくなるんです。

そんな訳で、最初から最後まで自己満すぎる記事でしたとさ。